炎上から会社を、社員を守る! SNSリスクマネジメント講座

第3回:どんな炎上が起きているのか--その原因や経緯を探る

後藤真理恵 (SNSエキスパート協会 代表理事)

2019-07-19 07:00

 前回は、SNSトラブルの中でも特に個人や企業・団体にとってダメージが大きい「炎上」について、その定義や発生プロセスを説明しました。今回は、国内外における炎上事例を幾つか紹介します。中にはご存じの事例もあるかと思いますが、炎上の原因や経緯なども振り返りながら、読み進めていただけたら幸いです。

企業・団体が巻き込まれた炎上事例

 毎年、数百件から1000件以上は起きているといわれる「炎上」。その中でも、今回は「企業・団体が巻き込まれた炎上事例」をピックアップしました。前回紹介した4つのパターン+番外編を加えた5パターンで説明します。

画像1

炎上原因

SNS内(オンライン)

(1)企業
・企業の公式アカウントによる「不謹慎な投稿」「フェイクニュース(デマ)の発信」
・企業の公式アカウントによる誤投稿(投稿ミス・公式アカウントと個人用アカウントとの切替ミスなど)

(2)従業員
・従業員個人による公序良俗に反する投稿(例:過去の犯罪自慢)
・従業員個人による機密情報や他人の個人情報漏えい(例:開発中の新製品情報、来店した有名人のプライバシー侵害)
・従業員個人によるフェイクニュースの拡散

SNS外(オフライン)

(3)企業
・不祥事、商品/サービスの欠陥(例:不正取引、商品への異物混入)
・センシティブ(デリケート)なテーマを扱った広告・宣伝(例:「人種差別」ともとれるCM)

(4)従業員
・公序良俗に反する言動(例:社員証を付けたまま電車内でマナー違反)

 以下ではそれぞれの炎上事例について、具体例を挙げて説明します。

(1)SNS内(オンライン):企業

米国ファーストフード公式Twitterアカウントがハッキングされて(?)炎上

 2017年3月、米国の某ファーストフードチェーンの公式TwitterアカウントがTrump大統領を批判する内容を投稿し、炎上しました。

 Twitterからの連絡を受けて当該ツイートは削除されましたが、ネット上の騒ぎは収まらず。「調査の結果、わが社のアカウントが外部からハッキングされていたことが分かりました」と公式な謝罪コメントが発表されました。

コメント

外部からのハッキングが理由と発表されたものの、「本当は従業員による誤投稿だったのでは?」という臆測の声は消えませんでした。

米国企業日本法人の公式Twitterアカウントが不謹慎とされる投稿で炎上

 2015年8月9日、米国企業日本法人の公式Twitterアカウントが「何でもない日おめでとう」と投稿し、8月9日は「長崎原爆の日」であることから「不謹慎だ」の批判が殺到しました。

 同日15時ごろに当該ツイートは削除され、同日夕方には以下の謝罪コメントが投稿されました。

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【お詫び】8月9日の●●Twitterアカウントからのツイートについて、皆さまにご不快な思いをさせてしまう不適切な表現がありましたことを深くお詫び申し上げます。今後につきましては細心の注意を払ってアカウント運営を行ってまいります。
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コメント

戦争や災害など「多くの日本人が悲しい記憶を呼び起こされる日」はそもそも炎上しやすいのですが、この投稿はタイミングと内容があまりにもまずく炎上を引き起こしました。どのような社内チェック体制だったのか気になるところです。

某自動車メーカーの公式Twitterアカウントが女性蔑視ととれる投稿で炎上

 2019年3月、某自動車メーカーの公式Twitterアカウントが行ったアンケート投稿が批判を集めて炎上しました。投稿文の「女性ドライバーの皆さまへ質問です。やっぱり、クルマの運転って苦手ですか?」の「やっぱり」という表現を不快に感じたという声や、アンケートの選択肢が「とても苦手・少し苦手・どちらでもない・得意です」の4つだった(「苦手」の選択肢が半数を占める)のを、女性蔑視だとする声が寄せられたようです。

 同社のアカウントは当該投稿を削除し、「(前略)女性の運転技量が男性よりも劣るかのような不適切な表現がございました。多くの方に不快な思いをさせてしまいましたことを、心より深くお詫び申し上げます(後略)」と不適切な表現だったことを認め、Twitter上で謝罪しました。

コメント

あるテレビ番組の調査では、この投稿を「偏見だと思う」と答えた人はわずか2割未満でした。オンラインとオフラインの世論にはギャップがあることも理解しておく必要があります。

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