NECは7月17日、ルーマニア・シビウで5月に開催されたEU首脳会議において顔認証システムを提供したと発表した。各国政府高官の入場管理に活用された。EU首脳会議のセキュリティ対策で生体認証が利用されたのは、今回が初めてだという。
ルーマニアは2019年1~6月にかけて、加盟後初のEU理事会議長国を務めており、国内の重要イベントにおけるセキュリティ対策を強化している。こういった背景のもと、NECは高官の警護を担うルーマニアの政府機関Protection and Guard Serviceに、自社の顔認証エンジン「NeoFace」を活用したシステムを提供した。
今回のEU首脳会議では、顔認証システムを用いて事前に登録した各国政府高官の顔画像リストと、会場内4カ所のゲートに設置したカメラで撮影した顔データを照合。加えて、招待状に記載されたQRコードと組み合わせる2要素認証とすることで、より強固なセキュリティを実現したという。顔画像の利用に関しては、同会議参加者が同意した上で実施された。
政府高官を高精度かつ迅速に認証し、安全でスムーズな会議の開催に貢献したとNECはコメントしている。
NECは生体認証技術の開発を40年以上にわたり進めており、生体認証サービス「Bio-IDiom」を活用したシステムは世界70カ国、1000システム以上に導入されている。同社は2020年度までの3カ年の中期経営計画「2020中期経営計画」において「セーフティ事業」を海外事業における成長の鍵として位置付けているという。