自動化支援クラウド「BlackLine」で考えたい経理業務の“継続処理”

阿久津良和

2019-07-18 06:45

 クラウド型経理財務業務自動化システム「BlackLine」を提供するブラックラインは記者会見を7月16日に開催。代表取締役社長 古濱淑子氏は働き方改革の文脈で「経理システムを自動化することで全体的な生産向上につながる。(BlackLineの活用によって)企業内での定着を推進したい」と語り、バックオフィスの自動化策を強くプッシュした。

 同サービスの採用でeBayは決算日数を10日から3日に短縮し、The Coca-Cola Companyは経理担当要員を800人から300人へ、スポーツアパレルのUnder Armourも経理担当者を10人から6人に削減。国内ではフリマアプリを展開するメルカリが同社サービスを活用している。

 多くの企業は経営の高速化を念頭に、各部門の生産性向上を現場に求めている。それは営業部門やマーケティング部門にとどまらず、バックオフィスに類する経理部門も同様だ。CFO協会の「経理財務部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する実態と課題の調査」によれば、経理部門におけるデジタル化の必要性を感じている割合は99%にも及ぶ。

ブラックライン 代表取締役社長 古濱淑子氏
ブラックライン 代表取締役社長 古濱淑子氏

 だが、デジタル化を推進しているのは23%と非常に少ない。

 場面に応じた経理業務プロセスのデジタル化に対しても、他のシステムから会計システムへの自動連係は60%と比較的優秀な結果が確認できるものの、決算処理のデジタル化は46%、外部監査へのデジタル対応も15%と「特に決算・監査業務でのデジタル化が遅れている」(古濱氏)。特にガバナンスという観点で見れば、決算内容に不安があると回答した企業は30%(どちらともいないは35%)という同協会の調査結果(2016年7月発表)も興味深い。

 これまでの経理部門は日次処理から月次締め、分析リポートへ連なる“直列処理”型だが、ブラックラインは負荷の平準化や処理の高速化で恩恵をもたらす「継続処理(コンティニュアスアカウンティング)」で経理業務のデジタル化を推進したいと語る。

 従来の直列処理は、日次処理から残高照合、仕訳入力、月次締め、分析、レポートといった順番で前の業務が終わらないと次の業務が始まらない。この直列処理は“バッチアカウンティング”であり、負荷の集中や精度の劣化を引き起こす要因となっている。

 ブラックラインが提唱する継続処理(コンティニュアスアカウンティング)は日次処理の後の残高照合や仕訳入力、差異分析、日時突合、ネッティングなどを締めを待たずに継続的に業務を回し続けることで負荷を平準化したり、処理を高速化したりできるという。

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