デジタル変革を“リアル”に進める方法を示す--テラスカイ

ZDNET Japan Staff

2019-07-22 06:00

 テラスカイは7月19日、2年ぶりとなるプライベートイベント「TerraSkyDay 2019」を都内で開催した。同イベントは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実際に進めていく方法をテーマに据え、基調講演では代表取締役社長の佐藤秀哉氏とユーザーやパートナーらがその具体像を提示した。

テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏
テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏

 クラウドインテグレーターとして2006年に創業した同社は、14期連続で成長を遂げている。2015年に東証マザーズへ上場を果たし、2018年には同一部に変更、顧客は4000社を超える。講演の冒頭で佐藤氏は、「エンタープライズの顧客に向けて着実なビジネスに取り組んできた。今後も信頼されるパートナーを目指していく」との経営方針を表明した。

 同イベントは4回目を数える。2018年は上場先の変更対応に伴って開催されなかった。前回2017年のテーマは「DXへの備え」で、当時はDXの概念すらあまり国内では知られていなかったが、この2年の間にDXの言葉や概念がだいぶ知られるようになってきた。

 「DXは大事な概念だと改めて伝えたい。DXは、クラウドなど『第3のプラットフォーム』をベースに人工知能(AI)などの先端技術があり、これら技術がアクセラレーターとなってビジネスを変えていく。DXを実践する企業は、既存業界やビジネスモデルの“破壊者”と呼ばれるベンチャーが中心。彼らは挑戦者で恐れがない。しかし、エンタープライズ企業は既存ビジネスを抱えながら戦わないといけない。ここに2つの課題がある」(佐藤氏)

 その課題の1つは、レガシーシステムに代表される古いITインフラがDXに堪えられないというもの。DXのアプリケーションやサービスとうまく連携できず、対応には時間がかかる。しかし、対応しなければDXへの道のりに進めない。

 この課題の解決を進めるユーザー事例が、トヨタ自動車の進める国内販売店の営業支援システムの刷新だ。自動車業界は、“100年に一度の大変革”と称される「CaaS」に直面しており、自動車の製造・販売から移動を中心とするサービス型の事業モデルへの変革を迫られている。さらに、国内市場は少子高齢化が進んで顧客も販売店スタッフも減っている。

 「DXで目指すのは営業活動の効率化であり、アプリやウェブなどを活用した新たな顧客接点の拡大とデータを活用する営業基盤の構築という2つに取り組んでいる。これをベースに地域や顧客を分析し、法人や個人への新たなサービスの提供、異業種連携による付加価値の創出を目指している」(コーポレートIT部 販売マーケティングシステム室長の度会裕志氏)

 しかし、古いの業務プロセスやレガシーシステムが障壁になり、関係者の協力もなかなか得られないなどの課題があったという。そこで一足飛びにクラウドで新システムを構築するのではなく、レガシーシステムとセールスフォース・ドットコムの営業支援システムをつなぐ仕組みを、Amazon Web Services(AWS)とテラスカイの「DataSpider」で設けた。APIによる容易なデータ連係を可能にしている。

トヨタ自動車が刷新を進める国内販売店の営業支援システムの概要
トヨタ自動車が刷新を進める国内販売店の営業支援システムの概要

 この取り組みは2016年からで、技術的な対応は一段落したとのこと。今後はセールスフォースのAppExchangeの仕組みを活用した異業種連携の枠組みを拡充していく。「投資を変革につなげ、全国の販売店が顧客貢献に専念できるような取り組みを目指したい」(度会氏)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]