ITで漁業の効率化を実証--KDDI総合研究所とゲイト

大場みのり (編集部)

2019-07-22 19:38

 KDDI総合研究所とゲイトは7月22日、ITの活用による漁業の効率化に向けて、実証実験に取り組んでいると発表した。両社は2019年4月から、三重県尾鷲市須賀利町にあるゲイトの漁場で、気温や気圧などのデータを収集するセンサーを搭載した「スマートセンサブイ」による水温データの測定や、カメラを搭載した「スマートカメラブイ」による水中撮影などの実験を行っている。

スマートブイが設置された様子(出典:KDDI総合研究所、ゲイト)
スマートブイが設置された様子(出典:KDDI総合研究所、ゲイト)

 KDDI総合研究所は、これまで漁師の経験に頼ってきた漁業の効率化を目指し、センサーや通信機能を搭載したスマートブイ(スマートセンサブイとスマートカメラブイの総称)を用いて、センサーデータや気象データを通した漁獲量の予測に取り組んでいる。同社は2016年に宮城県松島市の石巻湾漁場で実証実験に着手。2018年には従来のスマートブイに比べて軽量・省電力の新型のスマートブイを開発し、石巻湾漁場で実験を進めてきた。

 ゲイトは、都内で居酒屋など9店舗を展開している。漁業における高齢化や後継者不足に危機感を持ったことがきっかけで2018年、三重県尾鷲市須賀利町で定置網漁を開始した。県外の企業が漁協の組合員となり、共同漁業権内で定置網漁を行うこと自体が日本で初めての事例だという。2019年5月からは、三重県熊野市甫母町でも現地漁協の組合員となり、休漁していた超小型定置網漁の操業を再開。加工や物流といった全ての工程を自社で行うことを目指している。

 KDDI総合研究所は、漁獲量予測のためのデータ拡充や分析精度向上、応用範囲拡大などに向けて、新たな実証実験場所を必要としていた。そのため、ゲイトと実証実験を行うことに至ったという。

 今回の取り組みでは、KDDI総合研究所がスマートブイをはじめとする実験機材の提供やデータ分析など、ゲイトが漁場でのスマートブイ設置やメンテナンス作業、漁獲量データの提供などを担当。今後は須賀利町のほか、甫母町のゲイト漁場においても実験を行うことを予定している。また漁獲量予測による漁業の効率化に加え、スマートブイに搭載された加速度センサーを利用し、漁業の安全性向上に寄与する検討・検証なども進めていくとしている。

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