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日本郵船、電子通貨の事業会社を設立--船上のキャッシュレス化へ

國谷武史 (編集部)

2019-07-26 09:44

 日本郵船は7月25日、フィリピンのTransnational Diversified Group(TDG)と共同で電子通貨の事業会社「MarCoPay」をフィリピンで設立したと発表した。管理や作業の負担の大きい船舶上での現金の取り扱いを電子化し、キャッシュレスによる船員の利便性の向上を目指す。

「MarCoPay」の事業モデル
「MarCoPay」の事業モデル

 同社は、中期経営計画の中でデジタル化の推進を掲げる。その一環で2018年11月に、電子通貨による船上での給与の支払いや決済を行う実証実験に取り組み、船上でのキャッシュレス化を図るためのシステムやネットワークなどの検討を進めてきたという。これを踏まえ、アクセンチュアおよびCitiグループと提携し、本格的な事業化をスタートさせた。

 MarCoPayのプレジデント ディレクター CEO(最高経営責任者)に就任する日本郵船 デジタライゼーショングループの藤岡敏晃氏によると、船員の乗船期間は平均6~8カ月間、最長で9カ月と特殊な勤務形態であり、世界各地を寄港しながら目的地までの船舶の運行を担う。この間の生活は現金が基本になり、給与の支払いや購入での決済なども現金でのやりとりになる。

船舶における給与や決済での課題
船舶における給与や決済での課題

 このため船舶会社は、出港時や寄港地などで船内に現金を運ぶ必要があり、航行中は船長が管理しなければならないという。現金の運搬や管理に多大な負担とコストがかかる。また、日本の船舶会社で働く船員の約7割はフィリピン人で、給与などを母国の家族へ送金することも多い。だが、現金が主流であることから送金ができるタイミングが限られ、手続きも煩雑であることが課題になっているという。

 こうした課題を解決するために同社は、船上で利用可能な電子通貨の仕組みを構築し、船員がスマートフォンのアプリケーションで決済や送金などをできるようMarCoPayを設立した。システムやネットワークなどの構築をアクセンチュアが担当し、通貨のやりとりをCitiグループがサポートする。

「MarCoPay」の特徴
「MarCoPay」の特徴

 電子通貨はドルと同じ価値水準にするとし、再現金化も可能なほか、Citiグループを通じて世界中の銀行のATMで入出金も行えるようにする。MarCoPayは日本郵船とTDGが50%ずつ出資し、現在はフィリピンの中央銀行に電子通貨事業の認可を申請中。2020年初頭から日本郵船の管理する約200隻へ順次サービスを展開し、その後は運行する約800隻に広げていく。

 将来は、他社にも採用を呼びかけるほか、キャッシュレス化に加えて地上の店舗や企業、オンラインサービスなどと連携したデジタルサービスの展開も視野に入れる。藤岡氏によれば、例えば、長期滞在の多い建設現場といった環境でも導入の可能性を検討する引き合いがあるという。

 日本郵船 専務経営委員 技術本部長の丸山英聡氏は、「取り組みは順調に進んでおり、強力なパートナーを得て、いよいよ事業化の大詰めに到達することができた」と語った。アクセンチュア 執行役員 テクノロジー コンサルティング本部 統括本部長の土居高廣氏は、「堅牢で新しいサービスを迅速に提供できるシステムを実現させる」と表明した。Citi東京支店トレジャリー・アンド・トレード・ソリューションズ部門長の児島勲氏は、「MarCoPayにわれわれのグローバルネットワークを活用していただくことで、船員の皆さんに貢献していきたい」とコメントした。

アクセンチュアの土居高廣氏、MarCoPayの藤岡敏晃氏、日本郵船の丸山英聡氏、Citiの児島勲氏(左から)
アクセンチュアの土居高廣氏、MarCoPayの藤岡敏晃氏、日本郵船の丸山英聡氏、Citiの児島勲氏(左から)

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