ガートナーは7月24日、国内企業のソフトウェア契約交渉に関する調査結果を発表した。内容はソフトウェアのメトリック (課金形態) に関するものと、SAP/Oracleのユーザーに対する第三者保守サービスの利用/検討状況に関するもの。
調査の結果、メトリックについては業務ソフトウェアとデスクトップソフトウェアの双方で「ユーザー課金」が最も多く、約半数を占めた。また、第三者保守サービスについては、過半数で利用/検討経験があることが明らかになった。
この調査は、国内のソフトウェアユーザー企業で、かつソフトウェアの選定や導入に関与している担当者のみを対象とした。2019年5月にウェブ経由で実施された。有効回答数は207件。
利用中のソフトウェアのメトリック(出典:ガートナー)
国内SAP/Oracleユーザーの「第三者保守」の利用/検討状況(出典:ガートナー)
課金形態はこれまで、ソフトウェアを利用する「ユーザー」数に基づく課金が最も一般的で、今回の調査もそれを裏付ける結果となった。しかし、今後業務ソフトウェアを中心に、メトリックの変更を迫られるユーザー企業が広がるとガートナーは見ている。今回の調査結果では、データボリュームをメトリックとしてソフトウェアを契約する回答者の割合は、業務ソフトウェアで11.1%、デスクトップソフトウェアで8.6%と、さほど高くはなかったが、データボリューム以外のメトリックで業務ソフトウェアを契約する回答者に対し「データボリュームへのメトリックの変更をベンダーから提案されたことがあるか」と尋ねたところ、「ある」が77.4%と高い割合となった。
ガートナーでは、データボリュームをメトリックとすることはユーザー企業にもメリットがあるとし、測定方法や従来契約とのコストの違いについて、現在の利用状況を棚卸ししたり、ベンダーと協議したりする時間を確保し、十分に準備することが望まれるとしている。
「第三者保守」の利用/検討状況では、実際に「利用中」の企業27社に対して、満足度を5段階で評価するよう依頼したところ、最も低い「大変不満」の回答はなく、「大変満足」が3.7%、「満足」が33.3%、「普通 (可もなく不可もなく)」が59.3%、「不満」が3.7%という結果だった。
ガートナーでは、第三者保守への高い関心が示された今回の調査結果の背景に、製品のメジャーバージョンアップなどの強化を今すぐに必要としないユーザー企業の存在があるとし、導入しているソフトウェアを現バージョンのまま延命させることも時として、新たなテクノロジーを取り入れるのに最適なタイミングや機会を得るための打ち手になり得ると指摘している。しかし一方で、この打ち手を有効に活用するには、実際の効果を得るまでの「シナリオ」を社内の関係者と慎重に協議し、共有しなければないとしている。