MM総研(港区)は7月30日、人工知能(AI)を活用して手書きの文字を光学文字認識(OCR)処理できる“AI OCR”サービスに関する調査を発表した。導入企業は9.6%だが、8割が効果に満足しているという。6月21~24日、ウェブアンケートで実施。予備調査2987人のうち、業務生産性向上の推進に強い関心を持つホワイトカラー企業従事者の1000人が対象。
ホワイトカラーの業務生産性向上にあたり最も非効率に感じる業務として「データ入力、登録」が51.5%を集めたという。紙帳票やPDFから文字を識別してデータ化する業務が特に非効率かつ具体的な解決策に乏しいという結果が出たとしている。
既存のOCRは、全体の85.8%が「活用できていない」と回答。「手書き文字の識字率が低い」が41.6%、「フォントの識字率が低い」が31.8%を集め、文字認識能力の低さが理由にあるとしている。
AI OCRサービス導入企業の85.7%が「データ作成に要する時間を削減できた」と回答。82.1%が「ミスの発生率」、78.6%が「当該業務に必要な人員数」を改善したという。普及率は低いが、導入企業の満足度は高いとしている。
導入効果(出典:MM総研)
未導入者の51.9%が「利用に関心がある」と回答。卸売りや小売り、製造、官公庁といった大量の手書き帳票が発生する業種、大企業を中心に高い関心を示したという。
各サービスが実用水準に達しているか検証もしている。日本市場で広く流通し、利用者の評価が高いNTT東日本の「AIよみと~る」、Cogent Labs(渋谷区)の「tegaki」、ユニメディア(千代田区)の「LAQOOT」の3サービスと、比較対象としてGoogleの「Google ドライブ」、Adobeの「Acrobat DC」、富士ゼロックスの「DocuWorks9」というAIを使わない3サービスを検証している。