Boston Red SoxのIT担当バイスプレジデントBrian Shield氏は、「野球はアメリカを代表する娯楽だと言わるが、これは非常に変化が激しい世界でもある。今は試合の多くの部分が技術によって動かされており、特に舞台裏で起こっていることにはその傾向が強い」と話す。
Shield氏によれば、選手のパフォーマンスを向上させるためにチームやコーチが利用できる分析データの量についても、観客に優れた体験を提供するために使われる情報についても、野球を発展させ、既存のマーケットを超えた領域にも広げていくにあたって、技術が重要な役割を果たしているという。
米ZDNetでは、最近2試合開催された大リーグ(MLB)のロンドンシリーズに合わせてShield氏に話を聞いた。大リーグが英国でレギュラーシーズンの試合を開催したのは、これが初めてのことだ。試合は2試合とも点の取り合いになり、Red SoxはどちらのゲームでもNew York Yankeesに敗れたが、Shield氏は、ロンドンに来てロンドンスタジアムでプレイしたことは素晴らしい経験だったと語った(ロンドンスタジアムは普段はWest Ham United Football Clubのホームスタジアムで、今回のシリーズに合わせて野球場に転換された)。
「わがチームは今回の機会に非常に興奮している」と同氏は言う。「私の考えでは、野球は歴史的に見て国際化がやや遅れているスポーツの1つであり、特に欧州ではその傾向が強い。ロンドンで試合を開催する機会が得られた上に、相手が宿敵のNew York Yankeesだというのは、私やRed Soxにとって最高の出来事だ」
Shield氏は2013年8月からRed Soxで働いている。ITに関しては25年以上の経験を持っており、その間に長期にわたり、最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)を務めた。Red Soxに参加する前はコンサルタントとして働いており、その前にはThe Weather Channelで約14年間CIOを務めていた。Red SoxのIT部門の責任者に就任したのは、故郷に戻るいい機会だったと同氏は話す。
「私はボストンエリアで育ったので、むしろRed Soxでフィールドに立ちたかったが、その夢はかなわなかった。とすればこれは、その次にいい結果だったと思う」と同氏は言う。「私は随分前に地元を離れ、さまざまな場所のさまざまな企業で働いてきた。6年前に、これまで学んできたことを生かすためにボストンに戻ってきたのは、いろいろな意味で夢のような出来事だった」
Shield氏は、Red Soxに参加してからの6年間で、大リーグの野球に多くの変化が起きたのを目撃したと話す。その変化の多くは、デジタル変革に関係したものだという。同チームが今できる取り組みの多くは、テクノロジーを効果的に利用する能力を前提にしている。同氏は選手のパフォーマンスに関するビッグデータの役割を例に挙げた。
「昔は非常に定性的だったものが、今ではすべて極めて定量的になっている。例えば、ホームランの距離やピッチャーの能力などもそうだ。そうしたファクトを役に立つ情報に翻訳できれば、コーチにとっても大いに役に立つし、それらの情報にアクセスできれば、ファンにとっても絶えず刺激的だ」とShield氏は言う。