AIがもたらす衝撃は領域で異なる--AI科学者が語る第3次AIブームの今 - (page 3)

阿久津良和

2019-08-06 06:45

 もう1つはフォーカス(焦点)。どのような企業でも独自の強みを持っている。ベストといえる領域にフォーカスし、過去に行ってきたビジネスをサポートすることが重要だ。たとえばAmazonは「Alexa」というスマートスピーカーを販売しているが、新たな販売チャネルを獲得したことになる。

AIはエポックメイキングな存在になり得るのか

――テクノロジーという観点からインターネットやブロックチェーンといったエポックメイキングな存在がある。日本では過去に数回のブームを迎えたAIはこの文脈に合致しない。AIがさらに進化することで、われわれの生活やビジネスを大きくくつがえるエポックメイキングな存在になるのだろうか。

 確かにAI研究は長い歴史があり、過去2回のブームは大きなトライアルで広く貢献してきた。ただ、第2次ブームは過大評価しすぎたと思う。

 現在の第3次AIブームは過去とは異なり、現在はデジタルデータが大量に存在し、クラウドのビックデータプラットフォームに格納できる。さらに強力なクラウドコンピューティングという基盤があり、AIアルゴリズムのトレーニングはもちろん、推論を使って多くの顧客に対応できるようになった。

 現時点で有効活用できるのがディープラーニング(深層学習)。より多くのデータを用いることでパフォーマンスも改善される。また、クラウドでレプリケーションできるため、大規模な顧客層に対して容易に対応できる強みを持つ。解決したい問題に対して大量のデジタルデータが常に入手できる状態であれば、ディープラーニングにはフィットする。

 ただ、現在のAIはホットトピックになっているため、アプリケーションによっては大量のデータを用いていないにもかかわらず、「AIを使用している」とアピールするものも存在し、混乱を招いているのも事実だろう。

 AIの領域は多岐にわたるため、具体的な説明が必要だ。確かにAIはわれわれの日常に大きな変化をもたらしているが、「新たな領域を大きく進化させたい」のであれば、専門家がどのようなテクノロジーを使ってサービスを実現しているか、具体的に説明する必要があるだろう。

 レコメンデーションシステムを例にすれば、AIを使っていると述べても、どのテクノロジーを採用しているか見えてこない。だが、AIソリューションの一種であり、高度なレコメンデーションシステムはディープラーニングも使用している。

――Appierに参加して1年が経過した。自社ソリューションに対して、どのようにコミットしてきたのか。短期的な目標や未来図を聞きたい。

 カスタマーエンゲージメントプラットフォームのAIQUA、データサイエンスプラットフォーム「AIXON(アイソン)」、アドソリューション「CrossX」のすべてに関わっているが、いずれも私が入社する前に開発されたソリューションだ。私はディープラーニングを使ってパフォーマンスを改善している。

 2年前の顧客数は100社程度だったが、1年経過した時点で1000社まで増加した。(ソリューションを導入した企業が)顧客を獲得する作業を自動かつ安定的に拡大することが私のチャレンジだ。ソリューション導入時に携わるサイエンティストやエンジニアの数を減らすため、機械学習を自動化するAutoMLを活用している。

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