AT&Tは、小売企業向けロボットを手がけるBadger Technologiesと提携し、小売店舗における作業の自動化を5G/エッジコンピューティング技術がどのように支援できるのかをテストしている。Badgerが開発している自律型移動ロボットは、食料品店の棚を見回り、品切れとなっている商品や、間違った棚に置かれた商品を見つけ出す機能を持っている。
Badgerは今後数年をかけて同社のロボットを、GiantやMartin's、Stop and Shopをはじめとする北米の約500の小売店舗に展開していく計画だという。
小売店舗内のWi-Fiネットワークは、店舗運営上必須となる支払い処理にも使用される可能性があるため、自律型移動ロボットの通信はそういったネットワークに大きな制約を加えることになる。その解決手段として、5Gネットワーキングの利用が期待されている。
Badgerの最高経営責任者(CEO)Tim Rowland氏は「5Gは、業務に欠かせない棚卸しやPOS、運用システムを横断した可視性の確保に向けた次なる重要なステップだ」と述べるとともに、「AT&Tとの協力により、情報をより迅速に提供し、店舗の効率や顧客サービス、利益の向上を実現することで小売業界の顧客へのサポートを強化できるようになる」と述べている。
5Gはロボティクス業界において画期的なテクノロジーだとみられている。回線速度や信頼性が極めて重要となる、建築やインフラ検査といった分野でのロボットの配備を進めていくうえで、長きにわたって障壁となってきたネットワーク関連の問題が、このテクノロジーによって解消されるはずだ。
両社は、AT&T Foundryを通じて、マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)環境でBadger Technologiesのロボットとともに5G接続をテストしている。エッジコンピューティングと5Gを組み合わせることで、エンドユーザーに対してより低いレイテンシーとより高いスループットを提供する。また、大量の在庫データをシームレスに把握/処理できるようになるため、店舗は在庫管理に関してスマートに意思決定できるようになる。
AT&T Businessの最高マーケティング責任者(CMO)Mo Katibeh氏は、「5Gやエッジコンピューティングを含む、携帯通信を活用した屋内ソリューションの構築は、小売業界がデジタル変革を進めるうえで必要不可欠な原動力だ」と述べ、「こういったテクノロジーによって、最終的にコンピュートパワーと低いレイテンシーを装備したロボットが実現される。このような能力やレイテンシーは、売り上げの増大や、店舗内でのエクスペリエンスの向上、顧客を手助けするための店員の能力強化にとって必要となる。Badgerのロボットにより、小売店側は商品在庫が底をついておらず、適切な場所に陳列されるようにすることで、顧客満足度を向上できる。それによって、売り上げの向上に結びつく。これがデータの持つ力だ」と続けた。
従来のクラウド環境ではなく、エンドユーザーに近い場所に向けてコンピューティングやデータストレージを分散していくという、エッジコンピューティングを用いたハイパーローカルデータプロセッシングによって、レイテンシーの懸念が劇的に軽減されるとともに、Badgerは大切なセキュリティ上の懸念に取り組みながら店舗内や店舗外のデータ移送方法をより柔軟に統制できるようになる可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。