OligoArchiveによって、アーカイブティアが磁気テープをベースにしたものからDNAをベースにしたものへと置き換えられる。合成DNAの格納にはさらなる障壁が存在しており、一般的なデバイスとDNAベースのストレージがうまくなじむかどうかについても疑問が残っている。とは言うものの、データやデータベースはいずれにせよクラウドへと向かっており、エンドユーザーは自らのデータがデータセンター内で安全に格納されている限り、どのようなかたちで保存されていたとしてもそれはブラックボックスであり、気にする話ではないだろう。
DNAストレージ上の情報に対するSQL検索
Appuswamy氏とHeinis氏によると、DNAストレージは速度面では依然として問題があるものの、並列計算においては大きな可能性を秘めているという。というのも、DNAは豊富に存在しており、安価であるためだ(正確に言えば、最終的にそうなると考えられているためだ)。ただし現時点では、1分間の高品質ステレオ録音を保存するコストはおよそ10万ドル(約1070万円)となっている。
大規模なストレージに合成DNAを利用するコストはまだ途方もなく高いが、Appuswamy氏とHeinis氏は、ストレージテクノロジーを含むあらゆる科学的/技術的なブレークスルーの場合と同様に、コストは低下すると見込んでいると述べた。
オリゴの合成がコスト的に実現可能なレベルになれば、大々的に普及するのは間違いないだろう。これは、DNAストレージ装置を並列に動作させるという可能性が十分にあることを意味している。あらゆるアルゴリズムのあらゆる側面を並列化できるわけではないが、並列化できるものについては大幅な高速化が可能になる。ここで、重要なポイントに言及しておく必要がある。
今日に至るまで、DNAはテキストや動画といった非構造化ファイルを格納するために用いられてきている。しかし、Appuswamy氏とHeinis氏が今回達成したのは、リレーショナルデータベースに対するDNAストレージの統合だ。彼らはデータとクエリーを、標準的なデータベースベンチマークである「TPC-H」のスキーマに取り込み、PostgreSQLのインスタンス上でTPC-Hベンチマークを実行した。シリアルなアクセスこそ実行しなかったが、任意のデータ選択は実行した。
構造化データを、バックエンドにDNAを採用したデータベースシステムに格納しておき、SQLによって検索するということが今日では実現されている。
提供:Appuswamy氏など