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「AIは悪になりうるか?」から考える“拡張知能”というツールとしてのAI - (page 3)

Garry Kasparov

2019-08-08 06:45

 筆者は、人々のAIに対する先入観について不満を言うことは、鏡に映った自分の姿に不満を言うようなものだと考えている。それを歪めたところで、問題の解決にはならない。われわれのアルゴリズムは、それがどんなに高度であっても、常にわれわれ自身の姿を映し出す。

 とは言え、こうした先入観を明確にし、膨大なデータの中から多くの有益な物を見つける際に、アルゴリズムが役に立たない訳ではない。人間の責任をアルゴリズムに押し付けて、自分たちは知らないふりをする訳にはいかない。

人工知能より「拡張知能」

 ツールとしてのAIは「人工知能」という曖昧で恐ろしい言葉ではなく、「拡張知能(Augmented Intelligence)」と呼ぶことで理解しやすくなる。

 「人工知能」という言葉を1956年に考案したのはJohn McCarthy氏だが、Sharkey氏はMcCarthy氏とその功績について話した時のことを教えてくれた。McCarthy氏はSharkey氏に対して、この言葉にはあまりにも紛らわしい要素が多く、二度と使いたくないと言ったそうだ。

 しかし、McCarthy氏曰く、彼がJohn von Neumann氏と1952年に「complex automata theory」と呼んだ時は、誰も関心を持たなかった。しかし、「人工知能」と呼ぶや否や、すぐに一般的なセンセーションを巻き起こした。

 混乱と恐れは進化の敵だ。アルゴリズムによる実刑判決、先入観を伴う顔認識、人間の介在なしに自ら標的を選択する武器システムなど、Sharkey氏の言う通り、AIには現実的な懸念が多数存在する。どの国もどの企業も技術競争に乗り遅れたくないと考えるが、人類にとって大問題となる可能性がある。

 筆者とSharkey氏の対談は、楽観的なトーンで幕を閉じた。ロボットや技術のスマート化を取り巻くディストピア的な空想に人々が取り憑かれているにもかかわらず、ロボットや技術のスマート化は今後も恩恵をもたらし、われわれをより生産性に、健康的にし、より豊かにしてくれるはずだ。

 Sharkey氏は、アメリカ合衆国大統領のスローガンを引用し、「人類を再び偉大な存在に!(Make humans great again!)」という言葉で対談を締めくくった。

この記事はAvastのブログを翻訳、編集したものです。

Garry Kasparov

Human Right Foundation理事長

1963年旧ソ連アゼルバイジャン生まれ。現在はニューヨーク市在住。2005年からロシアの民主化運動を展開している。オックスフォード大学マーティンスクールの客員フェローとして、人と機械のコラボレーションを中心に講義を担当。ビジネスや学問、政治の領域を対象に意思決定、戦略、テクノロジー、人工知能をテーマとした講演活動を続けている。政治、認知、テクノロジー分野での執筆活動は大きな影響力を持っており、世界中の主要出版物で数多く取り上げられている。2016年にAvastのセキュリティーアンバサダーに就任した。

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