松岡功の「今週の明言」

Google Cloud日本代表が語る「One Google」の意味

松岡功

2019-08-09 10:21

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、Google Cloudの阿部伸一 日本代表と、富士通の藤原隆 ソフトウェア事業本部 本部長の発言を紹介する。

「エンタープライズのお客さまにOne Googleならではのサービスを提案したい」
(Google Cloud 阿部伸一 日本代表)

Google Cloudの阿部伸一 日本代表
Google Cloudの阿部伸一 日本代表

 Google Cloudが先頃、顧客およびパートナー企業向けの年次イベント「Google Cloud Next '19 in Tokyo」を都内のホテルで開催した。阿部氏の冒頭の発言は、そのイベントに伴って開かれた記者会見で「One Google」という表現を使って、ユーザーやパートナーに向けてメッセージを発信したものである。

 会見は、阿部氏などが今回の年次イベントの基調講演における内容のポイントを説明するために開かれたものだ。その基調講演をはじめとした今回の年次イベントについては、本サイトのレポート記事「グーグル、クラウド移行支援ツールなどのアップデートを発表」および「クラウドインフラと社会インフラを“つなぐ”― グーグルと大手各社が事例」をご覧いただきたい。

 阿部氏は会見で、Google Cloud Platform(GCP)の日本でのビジネス展開について、まず6つの業種に注力していくことを説明。金融、流通・小売、製造、公共、ヘルスケア、テレコム・メディア・エンターテインメントの6分野である。説明の中では、6つの業種ごとに複数の社名やその事例内容を紹介。GCPの利用が日本でも着実に広がっていることをアピールしていた。

 パートナーエコシステムについては、「日本においても規模が拡大しているとともに、個々のパートナー企業との協業の深さも一段と進展している」ことを強調。例えば、GCPに関する認定資格を保持しているパートナー企業数が、この1年で60%増加。また、同社のパートナーカテゴリーとして「スペシャライズドパートナー」と認定されたパートナー企業数については、この6カ月で3倍近くに伸びてきていることを紹介した。

 その上で同氏は、Google Cloudの日本での事業体制について、「今後3年間でお客さまに対応するセールスやエンジニアの陣容を3倍にする」ことを明言した。

 この「陣容を3倍に」との発言も印象に残ったが、それにも増して筆者には、冒頭の発言にある「One Google」という言葉が気になった。図に示したのが、その内容である。図の右側にはGoogleがかねて提供してきたサービス、左側にはGoogle Cloudが提供しているサービスが記されており、「今後はこれまで以上に、この両方のサービスを連携させることにより、One Googleならではの価値ある新たなサービスを展開していけると確信している。それをエンタープライズのお客さまに提案していきたい」と阿部氏は力を込めた。冒頭の発言はこのコメントのエッセンスである。

One Googleとは何か(出典:グーグルの資料)
One Googleとは何か(出典:グーグルの資料)

 会見後、阿部氏に「One Googleとの表現はいつ頃から使っているのか」と尋ねたところ、「最近、社内で使い始めており、外部に向けて説明したことはこれまでないかもしれない」とのことだった。別にスクープというわけでもないが、今後のGoogleの方針を示す重要なキーワードだと感じたので、書き記しておきたい。

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