データ活用の重要性が増加し、その影響はさまざまな業界に及んでいる。スポーツ業界もその一つだ。イギリスの1部相当のサッカーリーグ「プレミアリーグ」で2連覇中のManchester Cityは、スポンサーでもあるバックアップソフトベンダーのAcronisをデータ事業のパートナーに選択。さまざまな活動を共同で実施しているという。
Stephan Cieplik氏
日本で事業を展開するアクロニス・ジャパン(アクロニス、港区)は、7月26日に「Acronis #CyberFit Day Japan」を開催。2008年にアラブ首長国連邦(UAE)の投資グループ、Abu Dhabi United Group for Development and Investmentが買収、現在は子会社としてManchester Cityを運営するCity Football Groupのバイスプレジデントでありアジア太平洋地域パートナーシップ担当ディレクターを務めるStephan Cieplik氏がデータの活用例やいきさつなどを語った。
増えるデータ活用--容量も増加
Manchester Cityでは、試合前に選手がコーチらと一緒に過去のデータを分析。ロッカールーム内でタブレットからデータを確認でき、直前の戦略調整、試合後のデータ分析などができる環境を構築するなど、データをフル活用しているという。
取り扱うデータ量は増加の一途をたどり、「数TBにおよぶビデオライブラリーや分析データに加え、暗号化が必要な機密性が高いデータもある。バックアップだけで200TB以上」(Cieplik氏)と説明。データを管理、最適化できるベストなパートナーを探していたという。
2018年11月26日、AcronisはManchester Cityのデータバックアップ&ストレージのオフィシャルパートナーに就任。Mac、Windows、LinuxやAzureのデータなどをAcronisのクラウドにバックアップしているという。高セキュリティな仮想プライベートネットワーク(VPN)を活用し、ローカル、クラウド問わずに単一のインターフェースから操作可能。災害発生時でもデータを活用できる状態にあるという。
バックアップ構成イメージ(出典:アクロニス)
特に評価している点として、信頼性、操作性、サポート力の3点を紹介する。「データは何もせずにクラウドに転送され、遅延なくバックアップされる。ユーザーインターフェース(UI)は直感的で使いやすく、エンジニア不要での24時間監視が可能、サポートも非常に高品質。まだ全ての運用データのバックアップが完了したわけではないが、とてもシームレスに進んでおり、継続していく」(Cieplik氏)。現在6つのデータセンター、200台以上のサーバーで管理しているというデータを、今後もAcronisに託していくと語る。
パートナーシップは、単なるベンダーとユーザーという関係に留まっていないようだ。Acronisのブランド力を向上させるべく、200カ国以上で放送される試合で“仕掛け”を用意。サッカーの試合で変更できる3人の控えプレイヤーを“バックアップ”とかけて、交代したプレイヤーとでその後とゲーム展開がどう変わったかのハイライト動画を作成してファン投票を実施したという。「サッカーのファンはデータであまりワクワクしない。何かしら橋渡しを工夫したかった。ファンからの人気も高く、コンテンツとして成功したと捉えている。データと実世界のリンクをクリエイティブに提供できた」と説明する。