広島銀行(広島市南区)は、自然災害などの緊急事態発生時の情報共有ツールとしてビジネスチャット「direct」を採用。3月から導入し、情報共有スピードが大幅に向上したという。8月14日、directを開発、提供するL is B(千代田区)が発表した。
各部門の事務局や部長、担当役員などで構成する災害対策本部を設置しているが、2018年7月に西日本で発生した豪雨災害において、一斉に連絡できない、相手のコンディションによっては伝達できないという電話の課題、情報が伝達したかの把握が難しいというメールの課題が把握できたという。コミュニケーション手段の改善点として明らかになったとしている。
自然災害のような緊急事態での適切な対応を金融機関の最重要課題の一つと捉え、夜間や休日でも各支店の状況をリアルタイムに共有し、迅速かつ適切に対処できる方法を模索。時間を要する指示系統の「縦割り構造」を改善しつつ、金融商品の販売担当者に試験導入していたビジネスチャットを比較検討したという。
ビジネスチャットを含む多くのウェブサービスは、IDとパスワードがあればどこからでもログイン可能。便利な反面、銀行の管理下にないスマホやPCからのアクセスでき、重要なやり取りに不安があったという。directはあらかじめ登録した端末のみを許可できる「端末認証」機能を搭載しており、セキュリティを担保できる点を評価したとしている。
4月に正式運用を開始し、対策本部と防災、防犯対策推進本部のチャットルームを作成。メンバー登録後の5月には、宮崎県で震度5、広島でも震度3を記録した地震が発生。九州支店のほか、各支店とのコミュニケーションに活用したという。そのほか、5月1日の「令和」への改元、10連休などでも活用したとしている。
馴染みがある使い勝手で、既読と未読の一覧表示が可能。情報が伝達したか、重大な問題が発生しているかといった一次情報が電話報告の前に確認できるという。
ユーザー登録や管理は操作しやすく、新規に追加されたメンバーは参加前にさかのぼって内容を確認できるという。ログをエクスポートすれば削除済の内容も確認可能で、詳細な分析もできるとしている。

導入前後の違い(出典:L is B)