シスコシステムズは8月21日、2020年の東京五輪開催に向けたテレワーク普及支援策の一環として、クラウドベースのウェブ会議サービス「Cisco Webex Meeting」を開催するためのライセンスを従来以上に導入しやすくするという特別プランの提供を開始した。
特別プランのベースとなっているのは、実際に利用した分に基づいて課金額を決定するタイプの料金モデル。このモデルでは、契約初年度は全従業員数(メールアドレスを有する社員数)の15%を実利用者数と見なして料金を決定し、翌年度の料金は料金決定時期の直前3カ月の利用実績に基づいて決定(最低契約数は全社員数の15%)する。このモデル自体は以前から提供されており、国内のWebex利用企業の約1割が選択しているという。今回の特別プランでは、希望するユーザー企業に対して3カ月間の無償トライアルを提供する(パートナー経由での申し込み)ほか、無償トライアル期間から導入支援や無料オンライントレーニングなども提供される。
シスコシステムズ 代表執行役員社長のDave West氏
概要を説明した代表執行役員社長のDave West氏は、主要国におけるテレワーク導入状況に関する総務省の調査結果を紹介し、米国の85.0%、英国の38.2%に対し、日本では2017年が13.9%、2018年が19.1%という低い値であるとした。その上で、2012年のロンドン五輪時のロンドンでの実績として、「テレワークを実施した企業が75%、柔軟な就業規則を採用した企業が43%、ネットワークインフラを改善した企業が72%」という数値を紹介、「2020年の東京五輪時にも同様の数値が達成されることを期待している」と述べ、東京でもロンドンと同様に五輪を契機としてテレワークが一気に普及すると予想した。
加えて同氏は、「ITに強い人だけでなく、誰でもが利用できるテレワークシステムを提供する」としており、Webexが使いやすく、特別な技術知識なしで活用できる点を強調した。
特別プランの概要。パートナー企業経由で9月中旬より受付開始、10月から提供開始。希望すれば最初の3カ月間を無償トライアル期間とすることもできる。契約期間は1年単位で、初年は実際の利用量に関わらず、全社員数の15%を基準とした料金設定となる
料金モデルの詳細。契約期間が1~12月の1年間だったとすると、8~10月の3カ月の利用実績が翌年の料金決定の基準となる。毎月の変動を見越し、月当たりの超過は20%相当分まではカバーされる
また、業務執行役員 コラボレーション・アーキテクチャ事業担当の石黒圭祐氏は、Webexの使い勝手に関して「普段通りの仕事を普段通りにできることが重要」とした。Webexを使ったテレワークでも、MicrosoftやGoogleなどが提供するアプリケーションやサービスがそのまま使えるようなオープンな互換性の確保に注力しているといい、Webexを「オープンなプラットフォーム」として位置付けていると説明、Webexへの接続に関しても他社製のクライアントソフトウェアやハードウェア製品などを活用できるとする。
ゲストスピーカーとして登壇した三井不動産 ビルディング本部 ワークスタイル推進部 ワークスタイリンググループ 統括の細田知子氏は、同社が提案する「新しい働き方のスタイル」を実現するための法人向け他拠点型シェアオフィス・サービス「WORK STYLING(ワークスタイリング)」について紹介した。
WORK STYLINGでは、テレワークのための設備としてCISCO Webexを採用して各拠点に展開している。同氏は、元々こうした他拠点型シェアオフィス・サービスの利用目的としては、移動時間を短縮して効率よく業務を行うことを想定していたが、実際にはCISCO Webexを活用してミーティングをするためにシェアオフィスを利用する例も増えており、利用目的の2位に挙げられる状況だという。このためWORK STYLINGではWebexを設置した部屋の予約が埋まってしまうケースも増えており、今後積極的に設備を増強していく計画だとした。
Cisco Webexの位置付け。さまざまな機能を包含するクラウド・コミュニケーション・プラットフォーム全体を意味する名称としてリブランディングされ、他社製品とのオープンな接続性も重視する
説明会ではこの他に、シスコシステムズ本社内に設置された「コラボレーション ショーケース」の内覧会も開催、Webexのさまざまな機器やアプリケーションを実際に体感できる場として準備されたもので、最新の機器を活用したテレワークを試用できる環境となっていた。