アビーム、AI活用した防災訓練を実施--SNS投稿から被災状況などを収集・分析

NO BUDGET

2019-08-30 15:47

 アビームコンサルティングは8月27日、東京都江東区の豊洲エリアで住民参加による「都市型AI防災訓練」を実施すると発表した。31日に豊洲西小学校の体育館で実施される。

 この訓練では、住民のSNS投稿から必要な情報を収集・分析することで、マンションの自治会役員や地域の災害協力隊が地域被害状況の把握や危機対応体制を構築できるようにする。自然言語処理には、アビームが開発する「高度自然言語処理プラットフォーム」を活用する。

訓練概要(出典:アビームコンサルティング)
訓練概要(出典:アビームコンサルティング)

 高度自然言語処理プラットフォームは、情報通信研究機構(NICT)が開発した「対災害SNS情報分析システム」(DISAANA)と「災害状況要約システム」(D-SUMM)の自然言語処理技術をベースにした、自然言語処理技術による分野横断的な情報通信プラットフォーム。災害発生時にSNSなどへ投稿される社会インフラの被災状況や被災者・避難所の状況、帰宅困難者の状況などをリアルタイムで解析し、場所やカテゴリーごとに分類して利用者に提供することができる。地方自治体の防災情報システムとの連携も可能だ。

 また、同プラットフォームで処理するSNSなどの情報は、地震計や水位計、ドローンなどのセンサーの情報と補完的に利用することができる。例えば、各地の揺れの状況や水位上昇の様子をセンサーで把握し、実際に現地で土砂崩れや建物倒壊、浸水等の災害が発生しているかをSNS情報で確認、両者を重ね合わせることで対応を検討するといった用途が考えられる。

 アビームコンサルティングは、2017~2019年度にかけて、総務省の委託事業である「IoT/BD/AI 情報通信プラットフォーム社会実装推進事業 課題 I 最先端の自然言語処理技術を活用した高度自然言語処理プラットフォームの研究開発」を受託している。これに伴い、産業医科大学、東北大学東北大学病院、防災科学技術研究所と連携し、災害医療、保健・衛生、社会インフラ・防災、警備・セキュリティの4分野を対象に、SNSや地方自治体、関係機関等が保有する自然言語情報の処理と異分野間での連携・活用を促進する高度自然言語処理プラットフォームの要件定義・設計開発・実証評価・試験運用を進めている。

 同社では、同事業の推進を目的に、複数のウェブサイトで同プラットフォームの機能を一般公開している。Twitterに投稿されている情報から「土砂崩れや建物倒壊、浸水などの被害状況を示す情報」「救援・救護を求める情報」「道路や交通機関などのトラブルを示す情報」などを検索したり、その事象がどの場所で起きているかを解析して地図上に表示したりする機能などを提供している。

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