#7:「あまりにも〜過ぎる」という問題を解決する
あまりにも難し過ぎる。あまりにも複雑過ぎる。あまりにもコストがかかり過ぎる。AIは極めて急速な進化を遂げてきた。AIはもはや4人の類いまれなる天才によって作り上げられた一枚岩の分野ではなくなっている。AIによって強化されたアナリティクスによって、既存の業務アナリストやデータアナリストはスキルを強化してシチズンデータサイエンティストになれる。例えば、Salesforceの「Trailhead」が提供する学習モジュールによって、従業員はポイント&クリック形式で使用できるセルフサービス型の最新ディスカバリーツールの利点を享受できるようになる。
#8:偏見を防ぐ
偏見は組織が絶えず気を配って立ち向かうべき深刻な問題だ。最初に取り組むべき、そして最も重要な行動はもちろん教育だ。しかしそのうえで、ガバナンスとテクノロジーの組み合わせが、さらなる力となるはずだ。ガバナンスによって、どういったデータ要素をAIモデルで用いるのかという明確なポリシーが用意される。そしてテクノロジーによって、意図せぬうちに人を正しい道からそらせてしまう山道、すなわち無意識の偏見を避けられるようになる。「非効率的な運用を自動化すると、その非効率性に拍車がかかる」と述べたBill Gates氏の見方は正しい。同様に、偏見に基づいて作り上げられた自動ディスカバリーツールは偏見を助長する。割引債アプリケーションのモデルを「Einstein Analytics」を使用して構築する際、ガバナンスに従って「人種」を保護フィールドとして設定し、意思決定に用いられないようするという適切な対応がとられるかもしれない。これは手始めとしてはよいが、それだけでは十分とは言えない。このため、「Einstein Discovery」によってデータを吟味し、郵便番号が人種と極めて高い相関関係にあることを検出したうえで、無意識の偏見が入り込む余地を低減するためにモデルから削除するという追加手順が考えられる。
コミュニケーターが克服すべき最大の障害は、AIを取り巻くセンセーショナルな誇大広告だ。AIは理解可能な現実的プロジェクトに用いた場合に最も効果的だ。AIを組織における単一の巨大な破壊的変革と捉えてはいけない。その素晴らしさは、より優れた意思決定に向けた過程の一瞬一瞬に、人の知性によって裏打ちされたうえで横たわっている。これは虹のたもとにある黄金のつぼではなく、進んでいく道で拾い集めていく金の小塊なのだ。
本記事を執筆するうえで、Salesforceにおいてアナリティクスクラウド担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるKetan Karkhanis氏の協力を得た。
「世界で最もパワフルな人間とは、ストーリーテラーだ。ストーリーテラーは、やってくる世代を網羅するビジョンや価値観、アジェンダを定義する」--Steve Jobs氏
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。