NetAppは米国時間2018年10月24日に自社のKubernetesサービスである「NetApp Kubernetes Service(NKS)」の提供を開始。NKSは、Amazon Web Services(AWS)やMicrsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)といったパブリッククラウドでコンテナを管理するKubernetesのクラスタを起動、管理できるというもの。
同社製ハイパーコンバージドインフラストラクチャである「NetApp Hybrid Cloud Infrastructure(HCI)」でNKSを利用できる「NKS with HCI」をプレビュー版として提供を開始した。日本法人のネットアップが9月4日に開いた会見で明らかにした。
ネットアップは、パブリッククラウドやオンプレミスに点在するデータを自由にアクセスし、かつ安全にデータを移動、制御させられる「データファブリック」ビジョンを提唱している。同社常務執行役員で最高技術責任者(CTO)でシステム技術本部の近藤正孝氏は「従来はITインフラ管理者をターゲットにしていたが、“データファブリック 2.0”では、アプリケーション開発者やクラウドアーキテクトにも門戸を広げる」と方針を語った。
新たにオンプレミス環境であるNetApp HCIに対応した「NetApp NKS with HCI」。VMwareやFlexPod版は準備中
ネットアップ システム技術本部 ソリューションアーキテクト部 部長 神原豊彦氏
パブリッククラウドの体験をオンプレミスで実現し、開発者の負担軽減を目的にNetApp HCIで稼働するNKS with HCIは従来のNKSと同じく、パブリッククラウドのプロバイダーの選択と設定、クラスタ設定の3ステップでKubernetesの展開と管理を可能になると説明。同社によれば、開発を60%高速化し、運用負担を最大90%削減するという。
「ポイントはネットワーク」と語るのは、ネットアップ システム技術本部 ソリューションアーキテクト部 部長 神原豊彦氏。ファイアウォールやプロクシなどネットワークのルール設定をテンプレートに応じて自動的に設定できるため、「開発者はデータセンターに足を運ばず、AWSアカウントも意識せずにノートPCでクラウドを利用し、アプリケーションを開発、展開できる時代」(神原氏)と利点を強調した。
開発環境や本番環境が整っても課題となるのがデータである。その回答としてネットアップはクラウドデータサービス(CDS)を提示、具体的な形がデータ管理技術「Cloud Volumes」。Cloud VolumesはAWSやAzure、GCPの上で同社製ストレージと同じ使い勝手でストレージを制御、管理できる。すでに「Microsoft Azure NetApp Files(旧Cloud Volumes for Azure)」「Cloud Volumes for GCP」「Cloud Volumes ONTAP for GCP」が利用できる。