遺伝子解析系スタートアップであるWuXi NextCODEは、1人あたり500GBに及ぶ遺伝子シーケンスデータをAWSのストレージに格納していたが、その量はYouTubeの20倍にあたる年間40EB(エクサバイト)と膨大になってしまう。そこでAWSをサポートするCloud Volumesを採用することで、「AWSネイティブの2~3倍の速度、コストは半値以下」(神原氏)を実現した。
このように開発・運用・データ管理環境が位置の制約から解放されると、ハイブリッドクラウド環境を一元的に監視、管理する仕組みが必要となる。データ格納場所を問わずにガバナンスを可能にする「NetApp Fabric Orchestrator」は、データの格納場所をリージョン単位で可視化し、利用状況を一元管理するための情報閲覧やデータの削除ポリシーを付与することで、管理者の負担を軽減する。
「Cloud Insight」はクラウドパフォーマンスの可視化やリソース消費を監視する。ダッシュボードにクラウドのストレージ性能やアプリケーションのセッション数などを表示。また、シャットダウンしても紐付いたストレージがコスト化する仮想マシン(VM)の確認によって、運用コストの節約が可能になる。ネットアップの説明によれば、すでに13社ほどの利用申請を受けているという。
「Cloud Insight」のデモンストレーション。電源オフやサスペンド中のVMが使用するストレージは約275TBに及び、各パブリッククラウドのコストも示されている
ネットアップ 常務執行役員 CTO システム技術本部 近藤正孝氏
NetAppがCDSに注力する背景には、データファブリック 2.0を推進すべきIT環境にあると語る。「ベアメタルから仮想化、クラウドと時代は進化している。クラウドは効率性の高いアプリケーションの運用手法を必要とする新しいデザインパターンだ」(近藤氏)
すでに多くのIT企業は開発組織の体制を「開発チーム&運用チーム」から「製品開発チーム&サイトリライアビリティエンジニア(Site Reliability Engineering:SRE)チーム」(DevOpsに含まれるベストプラクティスと言われている)に移行させている。「われわれもリリースサイクルの加速に貢献すべきという問題意識を持っている」(近藤氏)からこそ、フルスタックによるCDSを拡充させるため、各レイヤに対するソリューションを拡充し、さらなる拡張を目指している。各ソリューションに関する進捗は、米国と日本で開催予定の「NetApp Insight」で披露する予定だ。