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“真FinTech” 地域金融の行方

金融業自体が崩壊する? デジタル化でも危機すら見えない経営層

萩原栄幸

2019-09-18 06:00

 地方の金融機関が真の意味でテクノロジーを活用し、生き残りを賭けて今日を、そして明日を目指していくためには、何をすべきか――。この連載では、その対策についてFinTechを主体にお話したいと思います。その前に、第1回目ではどうしても伝えたいことがあります。

 それは、地方の金融機関にお勤めの職員、管理職、経営層の中で、「毎日平穏無事で定年まで何とかこの会社が存続していればいい」と考えている方へのメッセージです。そのような方には、「早く辞めてください!」と大きな声で叫びたいのです。今、地方の金融機関は本当に極めて良くない状況です。

 以前セミナーで、「広い池(小さな魚が端から端まで全力で泳いで10時間以上もかかる大きな池をイメージしてください)のおバカな長老会」という話をしました。

 その池にハスが根付き、成長力が極めて早く、1日でハスの葉が倍になっていきました。池に住む魚たちは日光を浴びないと生きてはいけない種類で、ハスの葉はとても迷惑でした。それでも、広い池にハスの葉が1000枚あろうと1万枚あろうと、全く問題になりませんでした。

 ハスの葉が広い池の面積の数%を占めるようになった頃、魚たちは「心配だ、大丈夫かな?」と長老会に不安な気持ちを訴え始めましたが、長老会は「見てごらん。ハスの葉っぱなど無視しても問題ない。池の半分くらいになったら対策を考えようじゃないか」――と。数日後、魚たちは必死に「まだ放置しますか? もう池の半分を占めてますよ!」と訴えました。それでも長老会は、「見てごらん。まだ、池の半分は明るい。明日になったら対策を考えよう!」という姿です。

 そして翌日、魚たちは全滅しました。長老会は、ハスの葉が“1日で倍に広がる”という事実すら気にとめず、なぜ調査をしなかったのでしょうか――。

 私は20年以上メガバンクに勤務し、全国行脚で自前のシステムを広げる活動や、「情報セキュリティ」を主体に技術や業務などさまざまな観点から実験・調査・試行に取り組んできました。その経験を生かして2008年に独立し、経営や技術のコンサルティングを中心として80以上もの地域の金融機関に対応してきました。

 独立して約10年。地方の金融機関を取り巻く環境は様変わりしました。メガバンクですら生き残りを賭けて真剣勝負をしなければならない昨今、一部の地方の金融機関あるいは経営者の方は、残念ながらひっ迫した状況すら知らず、危機感を抱いていないのです。

 読者の皆さんは、お近くの金融機関が5年後、10年後に残っていると思われますか? もし金融機関にお勤めの方なら、「国は金融機関を潰さない」という“神話”をどこまで信じますか? 私は、5年以内に潰れる金融機関が出てきてもおかしくないと思っています。今はまだ小康状態でも、国家間のさまざまな対立が激化してこの均衡が崩れ、大きく景気が悪くなるといっても何ら不思議ではありません。一部の政府高官や金融業界の重鎮の方はこの危機を真剣に考えているようです。そして、それらとは別の大きな要因が「FinTech」をはじめとする新しくて強力なテクノロジーを中心とする流れではないでしょうか?

 仮想通貨やIoT、AI(人工知能)、ブロックチェーン…。私は金融機関向けのセミナーとして、このような題材も繰り返し開催してきましたが、受講者の中には他人事のような眼をしたまま、「勉強しろ!」と言われたので仕方なく来たと明らかに思われる方がいらっしゃいました。

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