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炎上から会社を、社員を守る! SNSリスクマネジメント講座

第5回:企業のSNS運用担当者ができる炎上予防策とは(後編)

後藤真理恵 (SNSエキスパート協会 代表理事)

2019-09-20 07:00

 前回は、企業のSNS運用担当者が持つべき「炎上への心構え」と、皆さんが所属する企業・団体、そして従業員を「炎上」から守るためにSNS運用担当者が行うべき炎上予防対策の前編として、「防げる炎上」は徹底的に防ぐについて解説しました。繰り返しになりますが、現代は炎上を100%防ぐことはできない時代です。今回は、「炎上は起きるもの」を前提として、SNS運用担当者が行うべき「炎上予防対策」について紹介します。

  1. 「防げる炎上」は徹底的に防ぐ
  2. 炎上に備えておく
  3. 炎上を早いタイミングで発見する

(2)炎上に備えておく

 「防げる炎上」がある一方で「防げない炎上」もあります。企業としては「どんなに気をつけていても、炎上は起きるもの」と心得て、あらかじめ炎上に備えておくことが大切です。具体的には以下のような備えを検討してみてはいかがでしょう。

・社内向け「SNS利用ガイドライン」策定

 従業員向けに(業務・プライベートに関わらず)SNSを使う際の心構えや注意点、トラブルが起きた場合の社内緊急連絡先や対応方法などをまとめた「SNS利用ガイドライン」を作り、社内に共有しておきましょう。従業員の一人ひとりが危機管理意識を高めることで、炎上予防につながるだけでなく、万一、炎上に巻きこまれた場合にも適切な対応をスピーディーに取ることが可能になります。

 こうしたガイドラインの作成は、一般的に情報システム系の部署や人事・総務などの管理系部署が担当することが多い傾向にあります。できれば社内に「ガイドライン作成チーム」を発足し、関係部署の意見を取りまとめて反映するとよいでしょう。

 以下にガイドラインの目次例を載せておきますので参考にしてください。

ガイドラインの目次例

・社内向け「SNSリスク対策研修」などの実施

 「SNS利用ガイドライン」を社内に配布しても、忙しいといった理由で読まない/読めない従業員がいるなど、全社的に浸透させるのは難しい場合も多いようです。そこで、お勧めなのが「SNSリスク対策研修」の実施です。

 資料作成から講義まで全て内製するのもよいですし、外部のセミナー(座学形式・オンライン形式)を活用するのもよいでしょう。講義内容の理解度を測るためにテストを行うのもお勧めです。ちなみにSNSエキスパート協会でも、講義と試験をセットにした「SNSリスクマネジメント検定」を企業向けに実施しており、受検者からは「試験に向けて講義に集中することができた」と好評です。

・社外向けコミュニティーガイドラインの策定

 SNSでの自社の行動指針を社外向けに示す「コミュニティーガイドライン」を作り、SNSアカウントのプロフィール欄や自社ホームページ上に掲載しておきましょう。

 内容としては、SNSアカウント開設に関する背景や自社の運営方針、(ファン/フォロワーを含む)インターネットユーザーとより良いコミュニケーションを実現するために守ってほしいSNS上での注意事項を示します。炎上やトラブルの抑止効果があるとともに、免責事項を明記しておくことで、例えば自社SNSアカウントの投稿への不適切なコメントといった炎上の火種を発見したときに、削除や非表示対応といった適切な対応を迅速に行うことができるでしょう。

・社内の「トラブル発生時の緊急対応フロー」策定

 炎上をはじめSNSトラブルが発生した際の緊急対応フローを作っておきましょう。トラブルの種類や原因によって「どの部署のだれが」「どんな判断/対応をするか」を、社内関係部署と協議して決めておきましょう。担当者の緊急連絡先も共有しておくのがお勧めです。

緊急対応フロー 緊急対応フロー
※クリックすると拡大画像が見られます

 上図は緊急対応フローの一例です。実際に炎上が発生した場合の具体的な対応については、次回説明します。

・ファン/フォロワーとの良好な関係作り

 日頃からSNSアカウント運用を通じて、ファン/フォロワーと良好な関係が築けていると、炎上時に心強い味方になってくれたり、炎上につながりかねない出来事が起こっても炎上に至ることなく収束したりする場合があります。自社のSNSアカウント運用においては、いざという時にファン/フォロワーに味方になってもらえるようなコミュニケーションを心がけていきましょう。

(3)炎上を早いタイミングで発見する

 炎上対策の基本は「早期発見・早期対応」です。今回は「早期発見」するための方法として「モニタリング(監視)」について説明します。

・モニタリング(監視)

 24時間体制(例:4時間おきなど)で実施するモニタリング(監視)は、炎上(の火種)を早期発見する対策として有効です。具体的には以下のような方法があります。

  • 目視で行う(社名・商品・サービス名などでSNS検索、Googleアラートを利用など)
  • モニタリングツール、SNS管理ツールなどを使う
  • モニタリング専門業者に外注する

 モニタリングの結果、個人情報に関することや誹謗中傷、クレームといった炎上の火種となりそうな投稿やコメントが見つかった場合の「対応ルール」「対応フロー」もしっかりと決めておきましょう。

「普段からSNSに慣れておくこと」も炎上予防策として有効

 前回と今回は、SNS運用担当者が行うべき炎上予防対策について紹介してきました。

  1. 「防げる炎上」は徹底的に防ぐ
  2. 炎上に備えておく
  3. 炎上を早いタイミングで発見する

 さらにもう1つ、SNS運用担当者ができることとして付け加えるとすれば、「普段からSNSに慣れておく」ことでしょうか。プライベートでもよくSNSを活用している人であれば問題ないですが、そうでない人も、ぜひSNSアカウントを作り、最低でも1日1回はログインして、「今、何が話題になっているのか」「最近、どんな炎上やトラブルが起きているのか」を実感していただくことをお勧めします。

 SNS運用担当者が「各SNSの雰囲気、世界観、ルールやマナー、トレンドなどを理解していること」そして「さまざまなタイプの炎上事例を数多く知っていること」は、企業の炎上予防にも有効といえるでしょう。

 次回は、皆さんが所属する企業・団体、または従業員が「炎上」に巻き込まれた場合にとるべき対応について紹介します。

後藤真理恵(ごとう・まりえ)
東京大学 文学部卒 ・中学高校教諭第一免許状(国語)取得。日本オラクルにて、技術者向け研修の開発から実施、講師育成、技術者向け資格試験の問題開発などを担当。その後はマーケティング、パートナービジネス部門などを歴任。2013年にコムニコへ入社し、数多くの企業のSNSマーケティングを支援するチームをマネージャーとして率いる。2016年11月、SNSエキスパート協会代表理事に就任。SNSマーケティングの正しい知識を持つ人材育成に向けた、各種講演・執筆・メディア出演など多方面で活動している。

・ZDNetでの連載バックナンバー:
 ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
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