デジタル化の急速な進展に伴い、人間がビジネスプロセスに介入できる余地は劇的に縮小しています。求められるレベルのアジリティを実現するため、リアルタイムで、あるいは少なくとも可能な限り迅速に判断を下さなければならない場合が増えてきています。
このためには従業員がどこでも、いつでも、そしてどの機器を使用しても働けることが求められます。従来のオフィスワークは急速に過去のものとなってきています。“仕事”を新たに定義し直すこと、すなわちインテリジェントなワークスペースにおいて、デジタルなワークフローを組み合わせることによるアジリティ実現が求められています。
ムンバイから東京までのさまざまな都市圏では、交通状況の混乱や混雑する公共交通などによって通勤者が貴重な時間をロスし、生産性に悪影響が及ぶという問題が発生しています。
たとえば東京圏の通勤者は、往復の通勤に1日あたり2時間に近い時間を費やしています。インドの状況もこれより良いわけではありません。Boston Consulting Groupの調査では、インドの4大都市における交通はそのための燃料、汚染、健康への影響、仕事に割くことの時間が減ること、機会の損失を通じて年間220億ドルのコストを生んでいることが示されました。
しかし、ビジネスへの悪影響については、混乱した交通だけではなく自然災害なども考慮する必要があります。気候学の研究者からは、気候変動によって熱波到来の長期化から太平洋での台風の巨大化まで、異常気象の発生が増加するとの警告が行われています。
これにはさらに、東南アジアの多くの国で頻繁に発生する地震も加わります。これらの状況は職場への通勤をより困難に、場合によっては不可能とし、生産性を大きく損なっています。
このような状況を踏まえ、デジタル経済の下での仕事は“オフィスで”するものから場所や時間帯に制約されることなく生産性を実現するものへと変化しなければなりません。
すなわち、どこでも、いつでも、どの機器を使っても働くことが可能な柔軟性が従業員に得られることが求められています。また従業員が生産性を高められるよう、仕事と社会生活のバランスを取るための手段を提供することも求められています。
従業員には生産性向上とよりモチベーションの高い職場がもたらされます。さらに企業の回復力も高まります。異常気象、地震、インフルエンザウイルスの急速な拡がり、地域の交通インフラに過大な負担を及ぼす政治やスポーツ関連のイベントなどにおいては場所に依存しない働き方が貢献します。