Slack自身もカスタムのワークフローを開発しやすくする機能「Workflow Builder」を年内中にベータ版の提供を予定していることから、その数はさらに増え続けるだろう。
Slack社内のヘルプデスクもカスタムアプリを用いており、要件の概要や詳細情報、緊急度を指定すれば、依頼はもちろん申請や進捗確認もSlack内で完結させ、「仕事はすべてSlackで」を実践している。
瀬良氏がカスタムアプリの事例として紹介したのは、トヨタ自動車社内で稼働する業務連絡バスの時刻表確認ボット。非エンジニアである同社MaaS事業部の谷村亮介氏は、Slack Japanによる1時間ほどのレクチャーで開発に着手し、1カ月後には完成に至った。瀬良氏は「カスタムアプリの開発が容易であることを示す事例の1つ」とアピールした。
盤石なプラットフォーム化を目指すSlackは今後の方針として、(1)誰でも簡単に作れる(2)より高い信頼性を保障する(3)よりリッチなUXを実現する――の3つを掲げている。
(1)は前述したWorkflow Builderを筆頭にした開発支援ツールの提供やベストプラクティスの共有、日本語ドキュメントの強化を行っていく。「本社スタッフも日本にAPI利用者が多いことを認識しており、技術ドキュメントやチュートリアルの翻訳に注力し、サンプルコードも充実させる」(瀬良氏)
(2)はボット権限の見直し。とあるカスタムアプリをインストールし、チャンネルからメンバーが全員退会すると制御できなくなってしまう現象を踏まえ、瀬良氏は「今後アプリを限定された権限で利用できる改善を加える予定」であることを明らかにした。詳細は近日中に発表する。
(3)は2月にリリースしたユーザーインターフェース(UI)フレームワーク「Slack Block Kit」の活用を指す。「セクションや画像、コンテキスト、区切り、アクションなどを用意。今後は入力画面にも対応し、複雑な業務においても利用できるシーンが増えるだろう」(瀬良氏)とし、Slack Block Kitの強化シナリオを披露した。
Slack Block Kitに追加予定のUIパーツ
最後に、Slackを使っていないユーザーとのコミュニケーションを可能にするため、指定した特定の名前が含まれているとメッセージをメールで転送する「ブリッジ」機能と、ゲストチャンネルで外部企業と自社をつなげる「共有チャンネル」の拡張を取り上げた。
後者は今夏からベータ版を提供しているが、上田氏は「すでに2万社が利用し、利用率は15%以上。1社あたりの平均共有チャンネル数は4つ以上」とアピールした。