トヨタマップマスターは、米HPEのオールフラッシュアレイ「HPE 3PAR StoreServ」を採用して、同社のデジタル地図制作の中核を担うITインフラを統合・刷新した。HPEが発表した。統合ストレージ環境の構築および新システム環境への移行は、HPE Pointnextのエンジニアチームが実施した。
トヨタマップマスターは、トヨタ純正カーナビゲーションシステムをはじめ、道路交通システムなどに利用される高度な地図データベースを構築するモビリティー情報基盤プロバイダー。2018年に、今後5年間で求められるシステム性能とストレージ容量の確保、そして投資対効果の最大化を目指し、デジタル地図制作の中核を担う「地図制作基幹システム」と「差分地図制作システム」の両システムの統合、刷新を決定した。
「地図制作基幹システム」は、現地調査により収集された道路や周辺施設(ランドマーク、建物、テナントなど)情報を位置情報と関連付けるなど、地図データベースの制作・更新プロセス全体を担っている。また、「差分地図制作システム」は、トヨタ純正カーナビの地図データのオンライン更新サービスを支えるシステム。
両システムは、日々更新を繰り返しており、データの複製や削除などの時間短縮が業務効率の向上および業務負荷の軽減に直結する。
今回は、地図制作基幹システムと差分地図制作システムの双方のストレージ環境を統合することで、システム全体をシンプルでコンパクトにできる。ミッションクリティカルなシステム環境を安定的かつ高速に稼働させ、データ保護をより強固にするために、同社は、HPEの検証センターを利用した、実データによる性能テスト、負荷テストを実施し、「HPE 3PAR StoreServ」の採用を決定した。
「HPE 3PAR StoreServ」によるデジタル地図製作システムの統合・刷新の効果については、これまで、およそ5時間を要していた日々のバッチ処理が約1時間で完了できるようになった。また、納品のための地図データ複製に要する時間も3分の1程度にまで短縮された。新環境ではサーバ、ストレージ、バックアップ装置などが余裕をもって4ラックに収容され、データセンターコストを従来の3分の2程度に抑えることができた。
さらにトヨタマップスターは、「HPE GreenLakeフレックスキャパシティ」によるオンプレミスITの従量課金モデルを採用している。HPEが保有するストレージやサーバなどのハードウェア資産を、トヨタマップスターの自社のセキュリティポリシーを適用したデータセンターに設置して利用している。これにより、初期導入コストの抑制とコストの平準化が可能になり、オフバランス化が促進された。