デジタルマップに関する歴史は50年に及んでいるため、地図制作業界もそのことについては理解していると思う人もいるかもしれない。早い話が、人工知能(AI)分野の50年に及ぶ発展により、ソフトウェア業界はアルゴリズムとデータレイクを専用のPaaS上に配置し、あらゆる開発者からアクセスできるようにする方法を見出している。しかしながら地図情報分野において、企業が位置データを役立てようと考えた場合、そのデータを自らで手に入れて管理するか、あらかじめ開発されている単純なアプリケーションを使うことしか術がないのが現状だ。
これが、2012年にAppleがGoogleと袂を分かち、自らの地図情報スタックを構築しようとした際に進んだ道だ。またこれは、2016年にUberがGoogleとの縁を切ってdeCartaを買収した際に進んだ道でもある。そして政府機関が輸送機関を計画する際にしなければならないことでもあり、John DeereやCaterpillarが農業機械上で稼働する精密農業アプリケーションを構築する上でやらなければならないことでもある。
IoTや、自動運転車、拡張現実(AR)、ロケーションインテリジェンスにおける現実世界の未来を構築する企業は全て、自らでデータを手に入れ、管理した上で、ゼロからアルゴリズムとアプリケーションを開発しなければならない。
このアプローチはスケーラビリティーに欠ける
現実世界の人々やマシンにロケーションインテリジェンスをもたらすような、未来に役立つアプリケーションを構築できる数百万人の開発者は、このようなDIY的なアプローチでは魅了できないだろう。そこでこの機会を逃さないために、地図情報業界は、(1)全てのデータに対するオープンなアクセスを実現し、(2)それを役立てるソフトウェアを提供する――、という2つの壁を乗り越えなければならない。われわれには地図情報に向けた新たなアプローチが必要なのだ。