PwCがオンラインエンターテイメントやストリーミングサービスの利用頻度を調査したところ、以下の結果となったという。海賊版サイトの利用に関しては、43%と半分近くの人が利用経験があると回答した。Eeden氏は「正直に答えていない人もいるはずなので、実際は半分以上いると考えられる」と述べた。
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同社は、影響力のある広告のタイプも調査。その結果、テレビ広告が35%と最も高いことが判明した。このことから、消費者は依然としてテレビを信用する傾向があるといえる。
まとめとして、Eeden氏は「消費者行動のパーソナル化が進むのは明らかだが、パーソナル化は一人ひとりが閉ざされた空間で過ごす『孤立化』、コンテンツの感想などをシェアする『ソーシャル化』のどちらをもたらすのか分からない。そしてテクノロジーとサービスの進化により、エンターテイメント・メディア消費のあり方は『受動的』から『能動的』へと変わっている。消費者は、メディアの種類やコンテンツを慎重に選び、パーソナルスペースを作るようになっている」と語った。
PWCはエンターテイメント・メディア業界の変化として、以下の3つを挙げる。
- AI(人工知能)の台頭
今や、消費者の代わりにAIが魅力的なコンテンツを提案するようになった。だが、AIが提供するレコメンデーションに対して、不満を抱く消費者が少なくないことも留意する必要がある - パーソナルデータの価値向上
消費者は自らのパーソナルデータは価値があると認識し始めている。そのため、企業はデータの保護に努める必要がある - 5GによるTMT(テクノロジー、メディア、テレコム)のバリューチェーンへの影響
5Gにより、パーソナライズが加速する。その結果、動画コンテンツの質が向上することに加え、消費自体の促進も予想される
エンターテイメント・メディア企業で働く人々へのアドバイスとして、Eeden氏は「消費者の中に入っていくことが必要」と述べた。「彼らが何を望んでいるのか、どのように行動しているのかを知ることが大事。そして、コンテンツ制作におけるパーソナルデータの重要性は高まっているものの、全てのユーザーIDの背後には生身の人間が存在するという事実を忘れてはならない」(Eeden氏)