インサイトテクノロジーは9月27日、データベース(DB)の移行に伴うSQL文の検証と試験を行うソフトウェア「Insight Database Testing」について、現在のビジネス状況と今後の取り組みについて明らかにした。
Insight Database Testingは4月に販売を開始した新製品(参照記事)。移行元DB(ソースDB)からSQL文を自動で収集し、移行先DB(ターゲットDB)で実行可能かどうかを検証・評価する。正しく実行されないSQL文は手作業や外部の変換ツールなどで修正することができる。
DB監査ツール「PISO」の技術を利用することで、実行中のアプリケーションからSQL文を自動で収集する。これにより、動的に生成されるSQL文や本番環境で実行されているSQL文の収集も可能となっている。
DB移行の問題について、取締役兼CTO(最高技術責任者)の石川雅也氏は、DB技術者の不足や開発時のドキュメントの紛失などを挙げ、DBの移行に必要な工数や期間の見積もりが困難な状況になっていると指摘する。
DB移行におけるSQLの問題
Insight Database TestingはPISOの技術を利用している
対応するソースDBは、Oracle Database 10g以上、PostgreSQL 9.3以上(EnterpriseDB:EDB Postgres Advanced Server、Fujitsu Enterprise Postgres、Fujitsu Symfoware Serverなどの互換製品を含む)、Microsoft SQL Server 2005以上、MySQL 5.5/5.7。
同ターゲットDBは、Oracle Database 11g R2/12c/12c R2、PostgreSQL9.3以上(互換製品を含む)で、Microsoft SQL ServerとMySQLにも対応する予定。
販売開始から半年たった現在は直販を中心にビジネスを展開しており、製造業や流通業、ネットビジネスなどから30件程度の案件を受け、10件程度の概念実証(PoC)が進行しているという。2019年中には3~4社との契約締結を見込んでいる。システムインテグレーター(Sler)や代理店経由での販売にも拡大していく意向だと石川氏は話す。
同氏によると、現在はOracle Database間の移行が案件で最も多く、Oracle DatabaseからPostgreSQLへの移行とSQL Server間の移行がそれに続くという。オンプレミスからクラウドへの移行といったケースも増えている。
説明会では、SQL ServerをターゲットDBとした社内の実証実験についても触れた。同社は今回、社内で使っているサポート案件管理システムのDBをOracle DatabaseからAzure SQL Databaseに移行する実験を行った。スキーマ変換とデータ移行にはMicrosoftが提供する「SQL Server Migration Assistant(SSMA)」を利用し、Insight Database TestingでSQL文を検証・評価した。
DBをAzureに移行する際のステップ
DB移行の各ステップで利用するツール
DBが異なるため、SQLの互換性が低いのではないかと懸念したが、実際には61%のSQL文がそのままで動作することが分かった。一方、残りの39%については修正する必要があると判明。デモでは、修正が必要なSQL文を手作業で変更したり、SSMAに取り込んで改変する様子を説明した。
石川氏は今回の実証を受けて、「まだ製品レベルではないが、ベースとなる技術はできた」と話し、2019年度内にはSQL Server、Azure SQL Database、Azure SQL Database Managed Instance、Azure SQL Data Warehouse、Azure Database for PostgreSQLに対応させる予定であることを明らかにした。
「(Insight Database Testingの提供を始めてから)まだ半年しかたっていないが、非常に大きな手ごたえを感じている。Oracle DatabaseやSQL Serverなどプロプライエタリなデータベースを使っている企業がほとんどで、これからクラウドに移行するという状態にある。とても大きな市場になると考えている」(石川氏)
取締役兼CTO(最高技術責任者)の石川雅也氏