複数拠点からのリモートバックアップが可能で、最大96台のHPE SimpliVityに対応する。HPE SimpliVity 380 Backup and Archive nodeはIntelのXeonを搭載しているが、CPUが異なってもバックアップが可能なため、AMDベースのHPE SimpliVity 325 Gen10などを混在させても利用できると山中氏は説明する。
ソフトの組み合わせで不具合増加
山中氏によると、HCIシステムで発生するトラブルを分析すると、機器構成がシンプルになったため、ハードウェア故障やヒューマンエラーの割合は減少傾向にあるという。その一方で増えているのがリソース管理とソフトウェア不具合だという。
リソース管理の問題としては、リソースの不足や、特定の仮想マシンがリソースを非常に多く消費するという配分ミスといったものがある。これは、仮想マシンの高集約化が背景にある。ソフトウェアの不具合としては、ソフトウェアの組み合わせの問題やバグなどがある。これは、ソフトウェア定義ストレージ(SDS)などのソフトウェアの増加が原因となっている。
このような課題に対処しないとHCIの管理は上手くいかないとの考えを山中氏は示し、その解決策となるのがHPE InfoSightだと述べた。
HPE InfoSightは、HPEが買収したNimble Storageの予測分析プラットフォームで、インターネット接続されたシステムから数分ごとに送信されるデータを人工知能(AI)で分析。自己管理型のフラッシュストレージ「HPE Nimble」をはじめとするHPE製品で利用可能となっており、実績値として年間稼働率99.9999%、予期しない停止時間は年間30秒以内としている。
今回、HPE InfoSightがHPE SimpliVityに対応する。これにより、過去に発生していたインフラの問題の86%を事前予測、防止できるという。HPE SimpliVityユーザーは無償で利用でき、サービス提供開始は2019年10月を予定。
仮想マシンからクラスタ、フェデレーションまでの各レベルで1つのシステムから24時間監視可能。各クラスタでのストレージ容量の将来的な消費を予測できるようになっている。
仮想環境で問題になる、システムリソースを消費している仮想マシン「ノイジーネイバー」をいち早く発見できるようにもなっている。また、ルールに基づいてHPEサポートに自動で通報する仕組みも搭載している。
また、将来予定されている機能では、ソフトウェアを組み合わせて利用するHCIに対して高度な障害分析が迅速に可能になる。つまり、ソフトウェアの相性による問題を早く見つけられるようになるという。
HCIの場合、OS、ハイパーバイザー、SDS、ファームウェアなどのソフトウェアを組み合わせて利用するが、たとえば、ある組み合わせにおいて、システムが通常時は停止しないが、高負荷になると停止したとする。同じ組み合わせを利用している複数拠点でも問題の発生が確認されるなら、バグと判断し、同じ組み合わせの他のユーザーに組み合わせ変更を提言できるようになるという。
ファームウェアの組み合わせテストを実施する場合、エンジニアの技術が必要になるため、「ハイパーコンバージドをこれから普及させる一番の課題だと考えていたが、システムが入ることにより、しっかりと組み合わせも見えてくる」と山中氏はHPE InfoSightのメリットを挙げるとともに、これによって「最強のHCIになるのでは」との考えを示した。
今回発表された3製品により、国内HCI市場でのさらなるシェア拡大を実現したいと山中氏は述べた。
構築パートナー18社に
西村淳氏
HPEの取締役常務執行役員 パートナー営業統括本部長を務める西村淳氏は、HPE SimpliVityのビジネス状況として、魅力的な製品にHPE販売パートナーエコシステムを組み合わせることで、対前年比成長率50%を達成していることを明らかにした。
HPE SimpliVityの構築が可能な「I&S」認定資格をパートナー18社が取得することで、全国の幅広い顧客に対し、迅速に高レベルの製品とサービスが提供可能になっているという。「これも、われわれが持っているパートナーエコシステムのハイパーコンバージド市場における大きな強みだと思っている」(西村氏)