かつて多くの仕事の主要な要件であった「勤勉に働き作業を完了する」ことは、今や数多くの能力のひとつに過ぎなくなりました。
これは、デジタル化によってどの程度生産性が向上するかは、従業員がどの程度新たなテクノロジーをマスターするかによって規定されることを意味します。これにはテクノロジー分野のイノベーションを進んで取り入れることが求められ、また同時に社会的スキルを持つことの重要性も高まります。
たとえば今日のデジタルなワークスペースではオンラインでのコラボレーションを瞬時に行えます。しかし、これによるメリットは、従業員が突然の、また多くの場合には複数のチーム、会社、時間帯、言語、文化にわたる、コラボレーションの要請にも進んで対応しなければ実現しません。
このためには柔軟なスケジュール設定、デジタルなリテラシー(たとえばマルチメディアプレゼンテーションのスキル)、異文化間のコミュニケーションとチーム構築のスキルが必要です。この新しい仕事環境では、従業員は複数の異なるチームに同時に所属し、頻繁に異なる役割を担い、またそのためには複数の分野にまたがる思考をより高いレベルで行うことが求められますす。したがって、従業員は新しいノウハウの受け入れに積極的でなければなりません。
この常に学び続けなければならないという要求はすべての世代の従業員に当てはまります。
若い人材はデジタルなリテラシーを中心とする重要なスキルのいくつかを職場にもたらしますが、多くの人は複数の分野にわたる能力について改善を必要とします。また経験を積んだ従業員には、以前の職能に基づき既に持つノウハウを拡大するか、あるいはまったく新しい課題に挑戦することが求められます。
どちらの場合にも、生涯を通じて学び続ける意欲の存在が必須となります。この理由により、インテリジェントなワークスペースは従業員の継続的な成長を支えるため、コラボレーション用のツールや知識ベースへの容易なアクセスを提供しなければなりません。幸いなことに大半の人々は柔軟かつ生産的でありたいと望んでおり、またノウハウやスキルの拡大に伴う自らの守備範囲の拡大を楽しんでいます。
まとめれば、インテリジェントなワークスペースはビジネスの成功に極めて重要な役割を担います。このようなワークスペースは従業員がより迅速、効率的に働くとともに、気の滅入るルーチン作業に時間の大半を取られるのではなく、より重要な作業に注力することを可能にします。
しかし、このワークスペース変革は、テクノロジー面での進歩を進んで取り入れ、自らのスキルセットを拡げることを厭わない従業員によって補完された場合にのみ成功すると思われます。デジタル化を通じて新たな働き方を実現したビジネス部門とIT部門のリーダーは、次には新たなグループのワーカーの能力を高めなければなりません。整理整頓されたワークスペースには整理整頓された心が必要です。
- 永長純(ながおさ・じゅん)
- シトリックス・システムズ・ジャパン セールス・エンジニアリング本部 本部長
- 前職ではアジア太平洋地域を担当し、様々な国の企業にビジネスやコスト、人の観点から提案を実施。その経験を生かし、日本企業が国内とグローバル競争で勝つためにワークスタイル変革を含めたソリューションを提供するのがミッション。
- 小林伸睦(こばやし・のぶちか)
- シトリックス・システムズ・ジャパン アジア・パシフィック・ジャパン事業推進本部 ソリューション・推進マネージャー兼エバンジェリスト(総務省テレワークマネージャ)
- イベントやセミナーなどの活動を通して働き方やワークスタイルの変革を推進しながら、「デジタルワークスペース」ソリューションのエバンジェリスト活動を行う。新しいテクノロジで市場の開発を目指す。