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エコノミーシートのイノベーション--これで宇宙も行けるか

飯田哲夫 (アマゾンウェブサービスジャパン)

2019-10-07 08:00

 これだけ暑い日が続くと、いずれ地球を脱出せねばならない日が来るという議論もリアリティを増す。そして、宇宙へ行くためのスペースシップの開発の進展はいずれ火星への移住計画も可能とするかもしれない。

 ただ、僕は行けない。それは、僕の生きている間に実現しないだろうということではなくて、狭いところが苦手なのである。月まで3日、火星まで9ヵ月、スペースシップに乗っていることができない。なので、話は宇宙から身近なところへとぐっと引き戻される。今回のテーマは飛行機のエコノミーシートのイノベーションである。

 筆者は、20年くらい前、朝の通勤電車の車両故障がきっかけで、狭いところが駄目になってしまった。狭いところが苦手と言っても人によってさまざまなで、自分は狭いところが駄目というよりも、出たいときに出られないのが駄目なのだ。

 なので、空いてる電車でも、駅と駅の間で止まったりすると軽く青ざめる。これが満員電車だったりすると、もう真っ青だ。

 こんな人間にとっては、宇宙船どころか、飛行機を使った出張ですら、大きなストレスと生み出す恐怖の源だ。幸いに飛行機に乗ることそのものにはそれほどの抵抗感は無い。飛行機からは出られないけど、飛んでる限りいつかは着くという安心感があるからかもしれない。

 何が駄目かと言うと、通路側以外の座席が駄目なのである。もう少し正確に言うと、エコノミーシートの窓側と真ん中の席が駄目なのである。これは、自分の出たいときに出られないから。

 なので、出張の日程が決まると、全ての仕事を放置していち早くフライトを決めて通路側シートの確保に動く。ところが、往々にして出張日程がなかなか決まらないもの。結果、通路側が確保できなかったりすると、まるで仕事が手に付かない。

 1時間おきに航空会社の予約ページを訪れて通路側の空きが出るのをチェックしていたりする。意外とこの努力は報われて9割方は通路側が確保できるのであるが、問題は残りの1割だ。

 国際線の座席予約は旅行代理店に「通路側で!」とお願いするのだが、通路側が空いてないと「通路側が空いていなかったので窓側に致しました」と返ってくる。ただ、筆者の場合、「そうじゃなくて、真ん中!」なのである。

 出たいときに出られないことに恐怖を感じる自分は、どうあがいても開けることのできない窓ではなく、一人打ち倒せば通路に出れる中央席の方が絶望のレベルが低いのだ。

 前置きが長くなったが、そんな真ん中好きのわれわれに朗報だ。Wired誌によると、真ん中の席が快適なエコノミーシートが実用化されるという。これ、1年前くらいにその構想が取り上げられていたが、ついに米航空当局の認可を取得して実用化されることになったらしい。

 この座席は、3列シートのうち中央席を「2インチ(約5cm)低くして、後方に3インチ(約7.6cm)下げている」構造だ。これによって座席の配置が互い違いとなり、中央席の幅を若干広げることができ、さらに両サイドの座席との肘の干渉がなくなるのだそうだ。

 それでも好きな時に通路に出れるということにはならないが、少なくとも隣の人を打倒して外に出たいという欲求は少しは抑えられそうである。

 しかし、こんなことで悩んでいては宇宙は遠い。ミチオ・カク氏の『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』によると、この究極の解決策は物理的な肉体を移動させるのではなく、デジタル化した脳を移動させることで実現される。

 「コネクトーム」という、記憶、感覚、感情、人格などの脳全体の地図をデジタル化してレーザー光線で飛ばし、到達した先でコネクトームをアバターにダウンロードして活動するというアイデアだ。これをレーザー・ポーティングと呼ぶ。

 これなら、狭いのが苦手という情報も一緒に行ってしまうけど、狭いところに閉じ込められることがなく、移動も一瞬である。

 ということで、エコノミーシートのイノベーションは、物理的な移動を伴う出張には実にありがたい話であるが、いずれデジタルな移動ができるようになると、時間や距離のようなフィジカルな苦痛は排除され、きっと生命の概念まで変わらざるを得ないだろうなと新しい悩みに行きついてしまうのである。

 しかし、真ん中席が人気出ると困るな。

飯田哲夫(Tetsuo Iida)

アマゾンウェブサービス ジャパンにて金融領域の事業開発を担当。大手SIerにて金融ソリューションの企画、ベンチャー投資、海外事業開発を担当した後、現職。金融革新同友会Finovators副代表理事。マンチェスタービジネススクール卒業。知る人ぞ知る現代美術教育の老舗「美学校」で学び、現在もアーティスト活動を続けている。報われることのない釣り師

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