IBMは7~8月にかけて、米国の開発者を対象に、オープンソーステクノロジーを用いて食品廃棄を削減するためのソリューションを生み出すよう呼びかけるハッカソンイベント「Food Waste Developer Challenge」を開催した。8月に終了したこのイベントの受賞者が米国時間10月3日に発表された。
食品廃棄物は米国で大きな問題となっている。米農務省(USDA)の推定によると、流通する食品の30~40%が廃棄されているという。2010年に約603億kg、1610億ドル(約18兆円)に相当する食品が廃棄された計算だとされる。
USDAのウェブページには「社会にとってより有益に活用できた可能性のある土地や水、労働力、エネルギーといった資源が、廃棄される食品の生産や加工、輸送、準備、貯蔵、処分で浪費されている。そして、地球の長期的な健全性を脅かしかねない影響を環境に対して与えている」と記されている。
IBMはAngelHackをパートナーとして今回のイベントを開催した。このイベントは、廃棄物の削減を念頭に置いた食品の販売方法などを追求する、より透明でリアルタイムな供給網の監視を実現するうえで開発者がいかに支援できるかを競うものだ。開発者らはイベントで、IBMのコードパターンとデータセットを活用し、食料品店や食品の供給網における廃棄物を大幅に削減するための新たなソリューションを生み出すよう求められた。「IBM Watson Visual Recognition」や「IBM Blockchain」、チャットボットのAPIなどのツールがそのまま利用できるように用意されていた。
そしてIBMは今回、100を上回った参加チームのなかからFreShipというグループを受賞者として発表した。
FreShipは、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせ、食品廃棄を最小限に抑えるという目的に向け、常時監視を実現するとともに、ある場所で廃棄される食品を別の場所で再販できるようにするスマートEコマースプラットフォームを構築している。食品輸送容器に「Narrow Band IoT」(NB-IoT)技術と「Arduino」システムを利用することで、輸送中における食品の鮮度を監視できるようにしている。また、ブロックチェーンを用いた、スマートビッディングによるコントラクトにも対応している。
IBMによると「『IBM Watson』の機械学習(ML)技術を活用することで、FreShipは食品の鮮度をその写真から分析し、廃棄以外に考えられる選択肢を提供する。例えば、スーパーマーケットがバナナを注文したものの、輸送時の遅れで販売できないくらい熟成が進んでしまった場合、FreShipを用いることで廃棄処分ではなく、そういったバナナを利用できる業者に輸送を振り替えられるようになる」という。
その結果、スーパーマーケットの損失を最小化すると同時に、食品廃棄物を削減する。
IBMはディナーサミットを開催し、FreShipチームと食品業界のリーダーたちを招待する計画だ。また、さまざまなIBMのチャネルを通して、技術を紹介していく。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。