本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
今日のポイント
- 日銀の日本株保有額がついに27兆円を超える
- 日銀と並び「自社株買い」も巨額の買い手に
- 2019年も自社株買いと並び日銀が巨額の買い手に
- 2018年も2017年も日銀が最大の買い手だった
- 日銀の買いがなかったら日経平均はもっと安い水準にとどまったか
- 日銀はいずれ年6兆円規模の買い付け額を縮小しなければならなくなると予想
- 日銀が買いを止めるとどうなるか
これら7点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
日銀の日本株保有額がついに27兆円を超える
日本株市場で日本銀行の存在がどんどん大きくなりつつある。日銀は今、日本株ETF(上場投資信託)を年間6兆円のペースで買い付けている。売りはせず、買いだけである。累積買い付け額はついに27兆円を超えた。
日本銀行による日本株ETFの累積買い付け額推移:2011年1月~2019年9月

出所:ブルームバーグのデータから楽天証券が作成
日銀はこれまで極めて分かりやすい買い方をしてきた。年間の買い付けペース(年6兆円)をほぼ守りつつ、日経平均が午前中に大きく下がった日に大口買い(703億円)を入れてきた。日経平均が上昇すると買いを減らし、「上値をけん引するのではなく、下値を支える」買い方を徹底してきた。
日銀は2015年から買い付けペースを引き上げている。2015年は年3兆円(月間約2500億円)の買い付けを行った。2016年に入ってから年3兆3000億円(月間約2750億円)とした。2016年8月から買い取りペースをさらに大幅に引き上げ、年6兆円(月間約5000億円)とした。現在も6兆円のペースで買っている。
日銀と並び「自社株買い」も巨額の買い手に
日銀と並んで「自社株買い」(※注)も巨額の買い手となりつつある。
事業法人が毎年数兆円規模で日本株を買い越しているが、そのほとんどが自社株買いである。ただし、自社株買いは事業法人の市場取引だけでなく、金融法人の市場取引や事業法人・金融法人の市場外取引でも出ている。全ての自社株買いを合わせると、2018年度(2018年4月~2019年3月)は6兆円超あった。2019年度(2019年4月~2020年3月)は、10兆円超の自社株買いが出る見込みだ。そうなると日銀買いを超えて日本株最大の買い手となる。
日本の上場企業は100兆円あまりの現預金を保有しており、財務良好な日本企業から今後も高水準の自社株買いが続く見込みである。