人工知能(AI)を大々的に活用するのではなく、地に足の付いたかたちで用いる事例が増えてきている。それは、「データ科学者を必要とする多くの機械学習(ML)プロジェクトとは異なり、シンプルな配備を可能にしてくれるRPA」だ。
2014年から2015年にかけて、IBMやMicrosoftといったIT業界のリーダー企業による大規模な投資と、それに伴う大々的な広報活動によってAIやMLが世の中を席巻した。しかし現在、Forrester ResearchのアナリストであるCraig Le Clair氏の言葉を借りると、AI市場やML市場は「後退」しているように見受けられる。Automation Anywhereが主催したイベントでこの意見を述べたLe Clair氏は、知的なソフトウェアボットが、企業におけるオートメーションという課題によりインクリメンタルなかたちで取り組むようになってきていると指摘している。

提供:Joe McKendrick
実際のところ、あらゆる形態のインテリジェントオートメーションに向けた取り組みは、企業の間での受け入れや導入に時間がかかっている。ここで、最高情報責任者(CIO)をはじめとする企業幹部600人近くを対象にしたKPMGの調査の結果を見てみると、インテリジェントオートメーション技術を大々的に活用していると回答したのはわずか17%であり、どこから手をつけてよいかすら分からないという回答は30%だった。問題としては、組織によるサポートと説明責任の欠如とともに、人材とテクノロジーリソースの不足が挙げられている。
大々的なAIプロジェクトやMLプロジェクトは、パイロット段階や概念実証段階で停滞する可能性があるが、華やかさという点では控えめなインテリジェントオートメーション、すなわちRPAを利用したソフトウェアボットは企業のプロセスやチャネルに浸透し始めている。こういったボットは一般的に、購入注文のデータを抽出したり、取引の完了を電子メールで知らせるといった単一の作業をこなすようになっている。Deloitteが2018年に実施した調査によると、半数を超える企業(53%)がRPAを導入しており、この値は2年後に72%になる見込みだという。