Le Clair氏は最近の自著「Invisible Robots in the Quiet of the Night:How AI and Automation Will Restructure the Workforce」(夜の静けさに潜む目に見えないロボットたち:AIとオートメーションがいかにワークフォースを再構築するのか)に、「薄暗いデータセンター内で誰にも見られることなく実行されているソフトウェアが、パーティションで区切られたオフィスで働いているスタッフや、取りまとめ役、さらにはナレッジワーカーの仕事を変革したり、置き換えたりしていくだろう」と記している。また、同氏が言うところのこうした「デジタルワーカー」とは「RPAプラットフォームによって構築される目に見えないロボットたち」であり、「簡単に言えば、こういったプラットフォームが人間の行っている作業をコンピューター上でまねるロボットを構築することで、データを金融アプリケーションに投入するといった繰り返し作業は簡単にボットにプログラムできるようになる」とも記している。
そして決め手は、「データ科学者を必要とする可能性のある多くのMLプロジェクトとは異なり、RPAは配備が容易である」という点だ。
現在ではRPAを活用したソフトウェアロボットが利用可能になってきている。Le Clair氏は「AIの最も破壊的な形態はソフトウェアロボットになるだろう」と述べ、「あるものは、RPAとさまざまなAIコンポーネントを組み合わせになるだろう。またあるものは、人間が行ってきた意思決定を肩代わりする、マシン内で実行されるアルゴリズムというかたちになるだろう。またあるものは、顧客が抱える問題の解決を支援するチャットボットになるだろう。2025年までにほとんどの従業員は、自己設定型のMLという台頭しつつある形態を利用し、テキストを通じて自らを設定できるパーソナルロボットの力を借りるようになっているはずだ」と続けた。
メカニカルな物理的ロボットや、AIのイニシアティブは、あらゆる形態のインテリジェントオートメーションに至る道のりとして脚光を浴びている。その一方で、RPAおよび関連のソフトウェアボットは、それほど目立たないかもしれないが、企業のさまざまなタスクで徐々に導入されるようになっている。企業のなかには、舞台裏で数千とは言わないまでも数百にものぼるソフトウェアボットが稼働しているところもある。また、生成される、あるいはソフトウェアボットが用いるデータ量の増加にともなって、そうしたボットの知性も拡大してきている。
Deloitteの調査ではRPAのメリットが浮き彫りになっている。ロボットはその投資額の回収に12カ月もかからず、平均するとフルタイム当量(FTE)の20%を達成しているという。挙げられているメリットには、コンプライアンスの向上(92%)や、品質/精度の向上(90%)、生産性の向上(86%)、コスト削減(59%)が含まれている。