5G元年となる2020年は、サービスプロバイダー向け戦略も拡充
2020年は、「5G」(第5世代移動体通信システム)の商用サービスが本格的に開始される。シスコ日本法人 副社長 情報通信産業事業統括の中川いち朗氏は「5G元年である2020年は、業界のリーダーとして、5Gとともに日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するための施策を進めていく」と語り、同社のサービスプロバイダー向け戦略を説明した。具体的には「エンドツーエンドの戦略的パートナーシップ」「B2B2X時代に向けたエコシステム」などに注力するという。
シスコ日本法人 副社長 情報通信産業事業統括の中川いち朗氏
シスコでは5G時代のネットワーク最適化に向けて、楽天やソフトバンクなどのモバイルネットワークの構築を支援してきた。両社に続き、KDDIやNTTドコモなどとの協業も進めるなど国内大手のプロバイダーの採用が相次いでいるという。
同社は、サービスプロバイダーとの戦略的なパートナーシップを強化するため、サービスプロバイダーの海外展開を支援するグローバル事業部や、クラウドマネージドサービスの共同開発に向けたビジネス開発事業本部などを新設した。
中川氏は「これまで通信サービスはB2Cが対象となり、ある程度の市場拡大が終わると頭打ちになる“ゼロサムゲーム”だった。これからの5G時代にサービスを利用するのは、企業が中心となる。今後はサービスプロバイダーと企業の両者のネットワークの融合が加速する。われわれはその橋渡しができる」と説明した。その一例として、同氏はNTTドコモ、THKと協業して開発した製造業向け予兆検知サービス「OMNIedge」を紹介した。
シスコの2020年度情報通信産業事業戦略
中小企業向け戦略「マーケティングから商談クローズまでを一気通貫で」
シスコは2016年度から日本の中小企業向けブランド「Cisco Start」を展開し、同市場に力を入れてきた。同社 執行役員 SMB・デジタル事業統括 兼 東京2020 マーケティング担当の鎌田道子氏によると、中小企業向け無線LAN装置「Meraki Go」などが好調だという。その一方で「有名タレントを起用したデジタルマーケティング施策によるブランドの強化で問い合わせは増加したが、その後の営業活動につながらなかった」と説明する。
シスコ日本法人 執行役員 SMB・デジタル事業統括 兼 東京2020 マーケティング担当の鎌田道子氏
中小企業市場向け事業戦略
同社は、2020年度からは同市場への攻勢をさらに図る計画だ。具体的には、マーケティングから商談クローズまでを一気通貫で対応する「バーチャルデマンドセンター」を新設。顧客の需要計画に基づいた分析や情報提供、商談支援デスクを統合し、マーケティングと営業組織を一元化する。さらに、SMB向けのパートナー窓口を立ち上げてパートナー支援を強化するとともに、オンライン販売チャネルも立ち上げるという。