独SAPは現地時間10月10日、最高経営責任者(CEO)Bill McDermott氏の退任を発表した。取締役のJennifer Morgan氏とChristian Klein氏を共同CEOに即日指名した。McDermott氏は、2019年末まで顧問として同社にとどまる。
共同創業者のHasso Plattner氏は、「Bill McDermottなしでは今日のSAPはなかっただろう」とし、「彼のSAPへの貢献は計り知れず、SAPがクラウド事業に移行する上で推進役となった。このことは、今後長期にわたって同社の成長の拡大につながるだろう」と述べた。
McDermott氏は2002年にSAPに加わり、2010年にCEOに就任した。CEOとして、同社のポートフォリオを拡大し、クラウド事業への大規模な移行を進めるなど、同社の大幅な成長に寄与した。
McDermott氏の在任中、SAPは主にクラウドに重点を置いた新たな市場への参入を進める上で重要な買収を実施している。特に、エクスペリエンス管理プラットフォームのQualtricsを80億ドル(約9100億円)で買収したことは大きかった。また、出張管理システムのConcur(83億ドル)や人事ソフトウェアのSuccessFactors(34億ドル)、セールスパフォーマンス管理ツールのCallidus(24億ドル)を買収している。
2019年に入り、元ベテラン幹部のRobert Enslin氏がGoogle Cloudに移籍するなど、幹部の退職が相次いだ。
Morgan氏とKlein氏は、エンタープライズアプリケーションソフトウェア業界で長年の実績を持つ。Morgan氏は2004年にSAPに加わった。最近ではCloud Businessグループのプレジデントを務め、Qualtrics、SAP SuccessFactors、SAP Ariba、SAP Fieldglass,、SAP Customer Experience、SAP Concurなどを監督している。Klein氏は、約20年前に同社に加わり、最近では最高執行責任者(COO)を務めるとともに、主力のERPソリューション「SAP S/4HANA」の製品開発を率いてきた。