KMSでは、分析と可視化を重視。「人のマネジメントには、それぞれの感情や思い、心といった部分と、数値化しやすい資格などの“形式知”、なんとなく把握できる“暗黙知”を把握する必要がある。その人物それぞれについて知り、ケアしなければならない」(石川氏)。効率的に分析、活動を可視化し、無駄の排除、品質の向上を伴う「働き方可視化」に務めていると語る。
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ホワイトボードの活用からはじめたという人と仕事の分析は、今では蓄積するログ活用に発展。さまざまなログを可視化できるSaaS「Splunk Cloud」のほか、構造化データを分析できるビジネスインテリジェンス(BI)「Tableau」、連携に強いマイクロソフトの「Power BI」を使い分け、併用しているという。粒度の細かいデータを可視化し、人それぞれの理解につながり、細かな指摘が減少。的確な指摘に厳選できているという。
見ればわかることが多くなり、会議などでは判断速度が向上。物事の決定に必要だった資料づくりのほか、思いつき発言などを削減、ブレも少なくなったと説明する。「ポイントは、とにかくデータを見るようにすること。わかっていることでも可視化し、思いつきからの行動をなくすことが大事」(石川氏)
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今後はさらに多くのログをSplunkに活用しつつ、人工知能(AI)を活用したサービスの進化などにも期待を寄せる。「例えばセキュリティ面では、攻撃もAIを活用して高度になっていきつつあり、パッチだけ当てていても守れるとは言い切れない。どんな攻撃があり、どうしたら守れるかを図式した“MITRE ATT&CK(マイターアタック)”などもあるが、危なそうな攻撃を一つ一つ可視化できたとしても、限りある人数ですべて追えるとは限らない。人間が見てもわからないような世界になるかもしれないが、Splunkには相当する動きを探すことができる接続モジュールなどがある。PoC(概念実証)段階のものも多いが、可視化や保護などさまざまな面で活用していきたい」(石川氏)
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Tschetter氏
日本ではセキュリティ分野への活用が多いSplunkだが、従来はITシステムのログ分析ツールとしてスタート。マシンデータを分析し、すべての人がその分析結果から得られるインサイトを活用できるプラットフォームとして展開。本国となるアメリカなどでは本来の用途への活用が多いという。 Splunkでバイスプレジデント、フェローを務めるEric Tschetter氏は、「どんなソースからのデータでも収集できる。どのデータでも“とりあえず取り込む”ことが重要」と説明する。
福島氏
日本を含めた世界7カ国の1300人のビジネスとITの両部門のリーダーを対象とした2018年末の独自調査では、6割が活用できないデータ“ダークデータ”のまま存在していると回答したという。Splunk Services Japanでエリアヴァイスプレジデントを務める日本法人代表の福島徹氏は、複雑化によりブラックボックス化した既存システムなど、「もともとデータ活用を目的とした設計になっていない」(福島氏)と理解を示す一方、デジタルトランスフォーメーション(DX)にデータを活用したいという強いニーズも感じているという。「いかにダークデータに光を当て、行動につなげられる、意味のあるものにできるか。全社横断した俯瞰的なデータ活用を促進し、データプラットフォーマーという分野のデファクトスタンダードを目指す」(福島氏)