面接前にデータで相性診断--採用の“当たり前”を覆す「ミイダス」とは

大場みのり (編集部)

2019-10-24 07:00

 パーソルグループのミイダスは、中途採用・転職サービス「ミイダス」について説明会を開催した。同サービスのユーザーは約32万人、顧客企業数は約6万5000社以上だという。

 ミイダスでは、ユーザーの経歴やスキルを基に市場価値を算出する。また、ユーザーが受診した「コンピテンシー(行動特性)診断」や「パーソナリティー診断」の結果を基に、顧客企業は自社の社風に合う求職者だけに採用面接をオファーできるため、採用活動の精度や効率が格段に向上するという。価格は顧客企業が定額制で年間80万円から、ユーザーは無料だ。

 加えて、10月1日から「フィッティング人材分析機能」も提供している。同機能では、ユーザーだけでなく顧客企業が募集をしている職種の従業員にもコンピテンシー診断を受けてもらい、人材の傾向を分析する。その中で人事評価が高い従業員と同じ傾向を持つ採用候補のユーザーを検索し、面接をオファーする仕組みだ。

 診断内容は、「パーソナリティーの特徴」「ストレス要因」「上下関係適性」「ストレス要因」「マネジメント資質」の4つで、項目は41個用意されている。

(出典:ミイダス) (出典:ミイダス)
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 ミイダス開発の背景について、代表取締役社長の後藤喜悦氏は「当社や顧客企業でも採用した人材の入社後ミスマッチが非常に多いと感じる。原因は主に3つあり、1つ目はその仕事に必要な能力が十分に定義できてないまま採用活動をするから。その結果、面接官の感性に依存してしまう。2つ目は、職務の経験年数に縛られているから。職種にもよるが、候補者の能力は経験年数で計れないことが多い。3つ目は、応募者の良し悪しを面接だけで判断するのが難しいから。採用面接(大半の企業が行っている非構造化面接)での評価は、14.4%しか入社後の評価に寄与していない。それにもかかわらず、面接で人を評価するという行為は昔から変化がなく、採用の“当たり前”となってしまっている。われわれは、この現状を何とか変えたい」と語った。

ミイダスの後藤氏
ミイダスの後藤氏

 同社自身も現在、ミイダスで人材を採用している。同社の営業社員で人事評価が高い人の行動特性を分析したところ、「バイタリティーがある」「人当たりが良くない」「オーガナイズ力が低い」の3つが挙がった。営業職には人当たりの良さが必要だと思われがちだが、同社の営業職の場合、周囲の意見を尊重し過ぎても売れないという。オーガナイズ力の低さに関しては、裏を返せばアドリブ力に自信があることだとし、アドリブを駆使する従業員の方が成果を出しているという結論に至った。これらの気付きを基に人材を採用したところ、以前に比べて離職率が低下し、生産性も約4倍向上したという。

 ミイダスを利用することで、求人企業側は採用面接の前に応募者の行動特性をある程度把握できるため、実際の面接で応募者に聞く内容も変わってくる。一般的な面接では、面接官が広く浅く質問をしながら、応募者の回答の中で気になったところを深堀りする。だが、ミイダスでの分析を踏まえての面接は、面接官が分析結果で気になった部分についてピンポイントで応募者に質問できるようになる。例えば、事前の診断結果で応募者のハードスケジュールへの耐性が自社の従業員より少し低かった場合、「今までで一番忙しかった経験を教えてください」といった質問をして確かめることができる。

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