デジタル変革とITの使い方をどう進めているのか--デルと大手顧客の実践例

大河原克行

2019-10-24 07:30

 Dell Technologies(デル/EMCジャパン)は10月23日、都内で年次カンファレンスとなる「Dell Technologies Forum 2019-Tokyo」を開催した。「REAL TRANSFORMATION(真のデジタル変革)」をテーマに、「Dell」「Dell EMC」「Pivotal」「RSA」「SecureWorks」「Virtustream」「VMware」の7ブランドによる、変革を実現する最新の技術やソリューション、製品などを紹介、デジタル変革を実現する手掛かりを提示するイベントと位置付けた。

 同イベントでは、基調講演やセッションのほか、展示会場では「インフラストラクチャソリューションズ」「クライアントソリューションズ」「モニター」「サービス」「OEMならびにEmbedded & Edge Solutions」「CSR」「Meet The Experts」といったゾーンに分けた展示も行っている。

Dell Technologies 会長兼CEOのMichael Dell氏
Dell Technologies 会長兼CEOのMichael Dell氏

 基調講演には、米Dell TechnologiesのMichael Dell会長兼CEO(最高経営責任者)が登壇し、「日本は、AI(人工知能)や5G(第5世代移動体通信)といった新たなテクノロジーによって期待に満ちた市場で、イノベーションが生まれている。われわれは日本にコミットし、創業3年目の1987年に日本でビジネスを立ち上げた。その後、日本で進化を遂げ、日本に7つの拠点を持ち、社員数は3000人を超える。われわれがパートナーとなり顧客の成功を支援する」と切り出し、「日本でのシェアが拡大しており、Dell Technologiesファミリー全体で提供する製品、ソリューション、サービスによってイノベーションが起こっている」と述べた。

 また、「今は巨大なデータが生まれてくる時代。2007年に年間86PBのデータが生成されていたが、2019年は18時間でそれだけの量が生成されている。10年後はわずか10分で生成されるだろう。テクノロジーは人類の進化を増幅させ、可能性を広げる。ただ、テクノロジーを人々の手に渡すだけではいけない。データが問題を解決し、社会を進化させなくてはならない。そのためには、シンプルでオープンな環境が必要。パブリッククラウドはシンプル化を目指しているが、全てをパブリッククラウドで行う人はいない。われわれは強力かつ広範な製品を用意し、オンプレミスもシンプル化できる。データが動くことによって生まれる力をサポートする。デジタル時代には大きなチャンスがある」などと述べた。

 同氏は、8月に開催した「VMworld」で明らかにしたVMware vSphereをKubernetesネイティブプラットフォーム上に展開することにフォーカスした「Project Pacific」や、VMwareがPivotalを買収してIT運用だけでなくソフトウェア開発の領域も対象に拡張したことに言及した。

 続いて登壇したDell EMCのCTO(最高技術責任者)を務めるJohn Roese氏は、「イノベーションをデザインする」と題し、デジタル時代における企業変革を、同社がいかに支援できるかについて説明した。

Dell EMC 最高技術責任者のJohn Roese氏
Dell EMC 最高技術責任者のJohn Roese氏

 まず同氏は、「今後のITでは何が重要なのか、それに対してDell Technologiesがどんな戦略で顧客のビジネスを支えていくのか。さまざまなテクノロジーが散在している中でどう組み合わせていくかが大切だが、共通するのはデータだ。データやテクノロジーはコストではなく、チャンスであり、テクノロジーによってデータの価値を解き放つことが大切だ。データを活用すればこれまで以上に経済は進歩し、より良い社会を実現する」と切り出した。

 AI、ハイブリッドクラウド、エッジ、ソフトウェアデファインド、ワークフォースモダナイゼーションの5つが、データを将来のパワーとするために重要だとしたほか、「全ての組織がデジタル組織になる必要はあるが、そのためにはサーバーやネットワーク、ストレージなどによるITトランスフォーメーション、Unified Workplaceの提案などによるワークフォーストランスフォーメーション、セキュリティの自動化を可能とするセキュリティトランスフォーメーション、適切な形で、適切な場所で、適切なタイミングでアプリを展開、運用できるアプリケーショントランスフォーメーションの4つが重要」と語った。

 ITトランスフォーメーションでは、次世代メディア、多次元の拡張性、ソフトウェアデフィインドアーキテクチャー、ハイブリッドクラウド/マルチクラウド、セキュリティとデータ保護、AI/機械学習といった技術がそれを下支える。「テクノロジーを選択する際には、パフォーマンス、コスト、信頼性、機能に加えて、どれだけ賢いかがこれからは重要になってくる」と述べた。

 また、「Dell Technologiesでは新たなサービスをマルチクラウドレベルで提供したいと考えている。マルチクラウドの仮想ネットワーク体験を提供できるのはわれわれだけだ。そして、世界最大のエコシステムを構築しているのもDell Technologiesになる。IT戦略はマルチクラウドをベースに考え、多様性のあるアプリケーションをシステムとしてまとめて動かせるようにすることがDell Technologiesのビジョン」と強調した。

 最後に、「変革は必ず起こる。自らがやらなくては、業界の誰かがやるだろう。この“旅路”は10年かかるもしれない。だが、そこに向けてわれわれは、パートナーとして一緒に取り組んでいきたい」と締めくくった。

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