(前回までのあらすじ)
あるメーカーの情報システム部の中野さん、会社では「データセンター移転プロジェクト」のリーダー、プライベートでは結婚する彼女と一緒に住むための新居探しと期せずして二つの「引っ越し」に向かい合うことになってしまった。
移転先のデータセンター探しよりもまず、「新居で一緒に住む家族」にあたる「移転するシステム」の計画の確認が必要、ということに気付き、移転対象システム一覧や現在のデータセンター利用状況を取りまとめた「予備調査報告書」を作成することができました。
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さて、業務での引っ越し計画の第一歩を踏み出した中野さん。今日は彼女と未来の新居を探すべく、賃貸住宅情報サイトを一緒に眺めていました。
「しばらくは共働きだし、通勤に便利な都心がいいかな。いっそ飲み歩きもできそうなオシャレな街に住んでみるとか?」
夢は広がりますが、物件にお気に入りマークを付けているだけでは新居探しは進みません。
「ねえ、こんなにたくさん候補をつけても内見できないわ。もうちょっと絞り込まないと」
「そ、そうだね」
「まずは通勤圏内で2LDKは必須よね。子供ができたらベビーカーを使うから、2階以上ならエレベーター必須ね。あと私、実家からピアノ持っていきたいの。防音室のある部屋でお願い! もちろんなるべく新しくて家賃は安くて駅に近い方がいいわ。ペット可だともっといいんだけど。じゃあ絞り込みお願いね」
「え~っ!」
彼女に無茶振りされてしまった中野さん、会社では次なるタスクとして「移転先データセンター選びと見積もり、年額予算のとりまとめ」が待っています。
「どうやって探そう。住宅情報誌みたいに情報がまとまっていればいいのに。なるほど、カタログがあるのか…。うわっ、所在地は非公開、ラック単価も『お問い合わせください』…。これじゃあ新居探しより骨が折れるよ」
残念ながら、各データセンターの情報は、住宅情報ほどカタログ化されて公開されていないのが現状です。個別に相談、見積、内見を繰り返すには多大な時間がかかってしまいます。