本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、ウイングアーク1st(ウイングアーク)とリアライズが提供する「データエンパワーメントソリューション」を取り上げる。
データエンパワーメントソリューションとは
ウイングアーク1stと、NTTデータグループのデータマネジメント専門会社であるリアライズ(江東区)は先頃、企業の経営状況の把握や意思決定のためのデータ活用の普及、浸透を目的に業務提携を結んだと発表した。
ウイングアークの強みである可視化のためのビジネスインテリジェンス(BI)ダッシュボード「MotionBoard Cloud」と、リアライズの強みであるデータプレパレーションサービスを組み合わせたデータエンパワーメントソリューションを11月22日より提供開始する。
BIなどの分析ツールを活用して企業の状態を可視化するには、収集したデータをアウトプット形式に合わせて加工や結合、クレンジングなどの「データプレパレーション」を行う必要がある。
しかし、必要なデータは企業内外の各所に散在しており、表記揺れや誤変換、欠損値をはじめ、その形式もさまざまだ。データの専門家ではないビジネス部門のユーザーが、これらのデータプレパレーションを行うのは難度が高く手間もかかるため、BIツールを活用する環境準備に期間と費用が生じる。
こうした課題に対し、今回の提携では、ウイングアークが業界や業態、業務に適したBIダッシュボードのテンプレートを用意し、これにリアライズがデータプレパレーションサービスを組み合わせて提供する。
これにより、ユーザーは自社に適したBIダッシュボードのテンプレートを選ぶだけで、手間と時間のかかるデータプレパレーションの労力をかけることなく、短期間で本来の目的であるBIダッシュボードによる可視化の効果を得ることができる。
また、データプレパレーションの処理を自前プログラムやExcelのマクロなどでコーディングする従来の手法は、組織変更や商品追加などが発生した場合に迅速な対応ができないことも少なくなかった。
しかし、今回のサービスを利用することにより、データの加工や結合などの処理に修正が必要になった場合でも、柔軟に適切な変更対応を行うことができ、本来の目的である経営情報の把握や意思決定などのデータ活用に専念することが可能となる。
なお、データエンパワーメントソリューションの第1弾として、「営業パイプライン可視化サービス」を提供する。このサービスは、データ可視化領域にはウイングアークの「Mappa」と「MotionBoard Cloud」を使用。データプレパレーション領域にはリアライズのデータマネジメントノウハウやAI法人名寄せクラウドサービス「Data-Master」などを使用し、ワンストップサービスとして提供する。両社は今後も新しいサービスを開発し、提供していく構えだ。(図1)

図1:データエンパワーメントソリューションの概要(出典:ウイングアーク1st、リアライズ)