Dropbox Japanは11月5日、“スマートワークスペース”を実現するための機能「Dropbox Space」と、ファイル転送サービス「Dropbox Transfer」のベータ版を全ユーザーに提供開始したことを発表した。スマートワークスペースは、より使いやすいデジタル環境を指すDropbox独自の概念。
Dropbox Spaceは米国時間9月25日に開催したイベント「Work in Progress」で発表された、共有フォルダを共同作業に適した作業空間に変える機能である。代表取締役社長 五十嵐光喜氏は「昔はタスクファーストだが、今はコミュニケーションファースト。テクノロジーの活用は当然だが、集中した議論から何かを達成する環境が求められている」と述べ、スマートワークスペースが実現する意義を強調した。
Dropbox Japan 代表取締役社長 五十嵐光喜氏
同社によれば、われわれの周辺にはテクノロジーの多様化が引き起こす多くの課題が存在するという。
Dropbox Japanが公表したグローバルの調査結果によれば、ナレッジワーカー(知識労働者)が使用するアプリケーションの平均数は9.39。常に開いている業務関連アプリケーション数は5~9。1年間の作業ファイルを5分以内に探すことができないと答えた割合は26%にもおよび、コンテンツの分散が課題の1つとなっている。
同調査によれば、中断されずに作業を継続できる時間は11分。中断前の集中状態に戻るまでの所要時間は25分。作業の中断が生産性や満足度などに与える経済影響は5580億ドルと膨大な額だ。
同調査では、過去20年における共同作業時間の増加率は50%、会議やメール、電話対応に要する時間は80%であり、付加価値の高い共同作業の割合は35%に増加し、調整作業が課題の1つになっているという。五十嵐氏は「(スマートワークスペースという概念で)新しい働き方をデザインする」と強調した。
従来のDropboxはWindowsのエクスプローラーやmacOSのファインダーのシェル機能を拡張するクライアントを提供していたが、「なすべきことを並べて作業完了に集中」(五十嵐氏)するため、新しいユーザーインターフェース(UI)を供えたDropbox Spaceの提供を開始した。
Dropbox Space化した共有フォルダを専用アプリケーションで開いた状態
従来の共有フォルダをDropbox Space化し、専用アプリケーション経由で開くと共有フォルダは業務タスク(プロジェクト)として左ペインに並び、中央ペインには共有ファイル以外にタスクの概要やタスクリストが並ぶ。右ペインには選択したファイルの概要やプレビュー、共有フォルダへの参加メンバーが並び、連絡を取る際もメールやSlackで会話できる。