同日に発表されたのは、VoltStackのほかにネットワーキングとゼロトラストセキュリティを提供する「VoltMesh」、そして中央制御や可視化機能を備え、分散型アプリケーションを導入、運用する管理コンソールの「Volterra Console」。
VoltStackはKubernetes APIを使用してマルチクラウド&エッジにまたがる分散型アプリケーションを導入、管理できる。VoltMeshは分散型アプリケーションのネットワーク環境に対してゼロトラストセキュリティを提供する。
クラウド側はHyper-VやKVMの仮想マシンを使用し、エッジ側はx86サーバーにソフトウェアをインストールすることで、データセンターにあるルーターやファイアウォールなどのインフラストラクチャーを再現し、工場や店舗のデジタル化が実現できるという。
Volterraソリューションが持つ各種機能(出典:Volterra)
Hua氏は「国によって規制内容は異なるが、たとえば調剤薬局は数年に1回のソフトウェアアップグレードが必要だった。人が対応するのは膨大なコストが発生するが、Volterra Console APIを通じてアップグレードパッケージを配信するフリートマネジメントが可能」と説明する。
ソリューション自体は、“オンプレミス版Azure”に位置付けられる「Azure Stack」に類似しているが、「Azure Stackは小さくてもハーフラックサイズであり、店舗や移動体(に対して用いるの)は難しい。われわれのソリューションは(手のひらサイズの)Intel Atom程度の小さなフォームファクタでも利用できる」(Hua氏)と利点をアピールした。
Volterraの日本法人は現在3人程度と小規模だが、すでに伊藤忠テクノロジーベンチャーズが投資メンバーとして参加し、営業やマーケティングのパートナーとしてチャネル開発に取り組んでいる。また、システムインテグレーターなどに協力を仰ぎつつ、サービスプロバイダーや自動車メーカー、コンビニエンスストアなどとの複数のプロジェクトを推進しているという。
たとえば「税関の顔認証がクラウドソリューションでは処理速度に課題が残る。某企業とテストは8~9割終わった。(高い品質を求める)日本企業がテストすると世界の企業も安心する」(Hua氏)と日本市場の潜在的な価値に注目している。
自社ソリューションがエンジニアに寄与する点として、「ITインフラ担当者であれば、セキュリティの観点から現場のエンジニアから上がる要望にすべて応えるのは難しい。ソフトウェア開発者ならマイクロサービス時代になれば、アプリケーション間はゼロトラストセキュリティが当然となる。セキュリティやパフォーマンスに関する課題をVoltMeshに任せることで、インフラ管理や開発に集中できる」(Hua氏)とアピールした。