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マイクロソフトが「スーパーマン」の映画をガラス板に保存--「Project Silica」の狙い

Daphne Leprince-Ringuet (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2019-11-08 06:30

 クラウドに保存されるデータは、2023年には100ZBに達すると予想されており、世界中でそのデータを保管するためのソリューションが模索されている。

 MicrosoftとWarner Bros.は、過去のアーカイブを守るとともに、未来のデータを保存するための取り組みで世界をリードしていることを示す発表を行った。

 Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏は、同社主催のカンファレンス「Ignite 2019」で、飲み物を置くコースターサイズの石英ガラス片を披露した。このガラスの中には、143分に及ぶWarner Bros.の映画「スーパーマン」が保存されていた。「スーパーマン」はこの技術の役割を示すためにはうってつけの選択だと言えるだろう。

 この技術は、クラウド向けの新しいストレージシステムなどを設計しているMicrosoft Researchの「Project Silica」が開発したものだ。

 Project Silicaの研究者らは超短レーザー光学技術を使って、スーパーマンの映画を1本丸ごと、1枚のガラス片の中に保存した。

 これは、超短パルスレーザーを使って石英ガラスの内部に「ボクセル」を書き込んだものだ。ボクセルとは、平面画像を構成するピクセルの3次元版だと考えればいい。各ボクセルの方向、深さ、サイズはそれぞれ異なっており、それらの要素が映画をエンコードするために利用された。

 ボクセルはナノスケールレベルで刻み込まれるため、1枚のガラスに何層ものボクセルを書き込むことができる。例えば、厚さ2ミリのガラスには100層以上のボクセルを補完できるため、高密度なストレージを作ることができる。

Nadella氏が持つ石英ガラス片
Microsoft主催のカンファレンス「Ignite」では、CEOのNadella氏が、新技術で生み出されたコースターサイズの石英グラス片を披露した。
画像:Jonathan BanksがMicrosoftに提供

 Microsoftによれば、このガラス片とその中に保存されたデータは、お湯に入れられても、オーブンの中で焼かれても、電子レンジにかけられても、洪水に遭っても、磨かれても、消磁されても残るという。レーザーでガラスの構造を永久的に変えてしまうため、書き込まれた情報は数千年以上持つ可能性がある。

 Microsoft Research Cambridgeの副ラボディレクターAnt Rowstron氏は、「われわれがなくしたかった大きな問題1つは、データを次世代に残すために、データを移動させ再書き込みするコストの高い作業サイクルだった」と述べ、次のように続けた。

 「われわれが本当に求めていたのは、棚の上に置いたら、必要になるまで50年でも、100年でも、1000年でも放っておけるものだ」

 Project Silicaを進めるにあたって、Microsoftは英国のサウサンプトン大学と協力関係を結んだ。同大学では、2016年にすでにレーザーを使ったデータの書き込み技術を開発しており、「室温ではほぼ無限の寿命を持つ」と主張していた。

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