ボックス、コンテンツ保護の新サービス--一括設定でセキュリティと利便性を両立

石田仁志

2019-11-08 10:30

 Box Japanは11月7日、クラウド型コンテンツ管理サービス「Box」のセキュリティを強化するための新サービス「Box Shield」の提供を開始した。

 Box Shieldは、ユーザーがBoxに保存しているコンテンツをポリシーに則して安全に活用するためのコンテンツセキュリティ管理と、人工知能(AI)を活用したインテリジェントな脅威検出の機能を提供し、不注意や誤操作による情報漏えいを防止するもの。これまでBoxがIDとパスワードによる2要素認証、フォルダへのアクセス制限、外部共有の制限、電子透かしなど複数のコンテンツ保護のための機能を提供する中で、Box Shieldはユーザーが自らの責任と判断のもとで、利便性を確保しつつコンテンツのセキュリティとガバナンスを担保できるようにするためのオプション製品となる。

BoxおよびBox Shieldのコンセプト概念図
BoxおよびBox Shieldのコンセプト概念図

 コンテンツセキュリティ管理では、まず管理者が共有するコンテンツごとに制御レベルやセキュリティレベルなどのアクセスポリシーを設定する。それをもとに、社員か外部のコラボレーターかといったユーザーの属性や、機密ファイル、個人情報を含んでいるかなどのファイル属性、どんな種類の端末やアプリケーションを通じてアクセスしているかなどの分類により、アクセスできるファイルや共有リンクを自動的に制限する仕組みとなる。アクセスした際にファイルの編集・閲覧・ダウンロードが可能かどうかを細かく設定でき、ダウンロードの際にはアプリケーションごとに実施の可否を制限することもできる。

アクセスポリシーの設定レベル
アクセスポリシーの設定レベル

 脅威検出においては、社内外からの異常な行動や悪意の可能性のある行動を自動で検出し、警告を行う。独自の機能学習エンジンを用いて、ユーザーが利用するコンテンツの種類や使用方法、コラボレーションの状況に応じた他者とのつながりを把握し、通常の振る舞いや有効なコンテンツを分析、それをもとに異常なダウンロードや不審な場所からのアクセス、不審なセッションなどを検出してアラートを発する仕組みとなっている。Box ShieldのアラートをセキュリティベンダーのSIEM(セキュリティ情報イベント管理)製品と連携させることで、WorkdayやGmailなどの他社のアプリケーションも含めたユーザーのアクティビティーを横断的に監視できるようになる。

 Box Japan 執行役員 マーケティング部 部⻑の三原茂氏は、デジタルの環境や働き方がクラウドやコラボレーションという形に変革していく中で、Boxの現状について「単なるファイル共有でなく、新しい働き方を支える基盤として使われるようになっている」と説明。今回のBox Shieldリリースの趣旨に関しては、「今までもセキュリティ機能を提供し、そこが評価されて導入企業が増えてきたが、Shieldは違う位置付けの製品。Box内部のコンテンツセキュリティを強固にしつつ、使い勝手はそのままという機能を提供するもの」としている。

Box Japan 執行役員 マーケティング部 部⻑の三原茂氏
Box Japan 執行役員 マーケティング部 部⻑の三原茂氏

 また、BoxのアプローチについてBox Japan 執行役員 Sales Engineering&GTM Enablement部 部⻑の⻄秀夫氏は、「SaaSの活用が増えているが、サービスごとにセキュリティレベルが異なる。そこでそれぞれのSaaSで活用するコンテンツをBoxに集約して保存し、コンテンツの部分のセキュリティはBoxが担保できるようにする」と語る。ただその際に、「ユーザーからはBoxにデータを保存した際に設定のミスや操作ミスで情報漏えいが起こるのではないかという不安の声がある。それを解消するために、利用者側の責任範囲でコンテンツを守っていくための手段としてBox Shieldを提供する」と説明する。

Box Japan 執行役員 Sales Engineering&GTM Enablement部 部⻑の⻄秀夫氏
Box Japan 執行役員 Sales Engineering&GTM Enablement部 部⻑の⻄秀夫氏

 製品は代理店のITベンダーを通じて販売する。Boxのオプションとして単体でライセンス販売するほかに、2種類の企業向けスイート製品に同梱して提供する。

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