ダイバーシティとインクルージョン--バランスを取るために考慮すべきこと - (page 4)

Patricia DuChene (Wrike)

2019-11-20 06:45

ピアとの類似点に注意する
 多くの企業が社員(ピア)による面接を行っており、多くの企業がソフトスキルや文化的適合性を判断するための「エアポート・テスト(※もし空港で飛行機が欠航になり、近隣のホテルも満室という状況で、面接官が候補者と朝まで空港で一晩一緒に過ごすことになっても耐えられるかどうかを判断するための質問)」のようなものを持っています。

 この面接のアプローチは、面接官が個人的に遊びに行って楽しく過ごせると感じた候補者により高いスコアを与えることにつながり、ひいては、似た人物を次々と採用してしまう恐れがあるため、後々問題が起こる可能性があります。

 Wrikeでは、才能を評価する際に、自社のコアバリューの1つであるコラボレーション(共働)を基準として、ピアの面接官に、「この人とともに働くことができますか? 彼ら(候補者)のコミュニケーションスキルはどうですか? 彼ら(候補者)が入ることによってチームが強化されると思いますか?」といった質問を行います。これにより、類似性に基づいて面接官が候補者を合格または不合格にする可能性を排除することができます。

性別の最低要件を設定する
 少なくとも1人の男性と1人の女性候補者が、すべての役割の最終ラウンドに参加するよう要件設定をします。Wrikeこれを義務付けており、採用チームが候補者のプールを拡大し、「枠外」に目を向けて、応募者を適切に組み合わせることをおすすめします。

「なぜ」「どのように」を質問することが重要
 面接の後面接官が集まって、候補者を評価します。ここでの人事部門の役割は、面接官に「なぜ、候補者に対してそう思うのでしょうか?」「どのように、その結論に達したのでしょうか?」と質問することです。

 その答えから、候補者に対する評価の理由を特定できます。それは面接官が無意識化で下した評価かもしれません。もしそうなら無意識にバイアスがかかっているということをここで特定できます。

文化を形成する
 多様性に関するトレーニングは、入社初日に全ての業務担当者が受けられるよう組み込んでおくべきです。ダイバーシティとはクォータ(分担)の要件を満たすことではないことを、採用者が理解した上で、初日を終了する必要があると考えています。これからますますグローバル化する世界では、多様な職場であるということ自体が会社にとっての大きな利点となり、自社だけでなくクライアント会社の多様性に対しても、より柔軟に対応できるようになります。

*****

 「無意識のバイアス」を克服できる企業は、従業員の定着と収益成長の両方のメリットを得られます。そのために、従業員が成長できる多様で包括的な文化を形成して維持していくことが重要なのです。  これは企業にとってとても大きな壁ですが、その壁を乗り越えた先にある大きな利益を考えると、乗り越えるために労力をかける価値があるのではないでしょうか。

Patricia DuChene
Wrikeインターナショナルセールス バイスプレジデント兼EMEAジェネラルマネージャー
セールスやマーケティング、カスタマーサクセスを担当。テクノロジー分野における女性の進出に注力しており、SaaStockやDublin Tech Summitにてプレゼンターを務める

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