海外コメンタリー

AWSやMSら米大手の脅威になりうるか--欧州独自のクラウドやデータインフラ計画

Daphne Leprince-Ringuet (ZDNet UK) 翻訳校正: 編集部

2019-11-19 06:30

 今日では、世界のクラウドインフラ市場の半分以上をAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudが占めているが、フランスのBruno Le Maire経済・財務大臣とドイツのPeter Altmaier経済エネルギー大臣は、欧州版のデータインフラを構築することで反撃に出ようとしている。

 10月末、両閣僚は11月の終わりに研究会を開催し、欧州のセキュアなデータインフラを育成するための提案をまとめ、早ければ2020年にも発表する計画を発表した。

 Bruno Le Maire大臣は、「21世紀のテクノロジー革命に取り組む」ためには欧州諸国間の緊密な連携が不可欠だと訴えた

 「データウェアハウスやデータプールを含む、欧州独自の安全なデータインフラを構築し、データの相互運用性を実現することを目指す」(Bruno Le Maire大臣)

 大臣は10月初めにも、フランスのソフトウェア会社Dassault Systemesとクラウド企業OVHの協力を得て、外国企業によるクラウドコンピューティングの独占を打破する計画を立てるという、野心的な取り組みを明らかにしたと報じられた。

 フランスだけではない。米国の技術的独占から脱したいという希望は、今や欧州首脳の声明にも表れている。

 例えば、先日欧州委員会委員長に就任したUrsula von der Leyen氏は欧州に向けた発言の中で、今から新たな「ハイパースケーラー」を構築することは難しいかもしれないが、複数の重要領域で「テクノロジー主権」を確立することは可能だと訴えた。

 10月には元英秘密情報部(MI6)長官のJohn Sawers氏が、テクノロジー競争に欧州が敗れることは、他国に対する欧州諸国の依存度が高まることを意味し、「中でも、同盟国の利害を無視しはじめている米国への依存度が上昇する」と警鐘を鳴らした。

 特に大きな懸念材料となっているのが、米国で2018年に成立したCLOUD Act(データの海外における合法的使用の明確化法)だ。この法律は、米国政府が米国のストレージプロバイダーが所有するサーバーに保存された情報へのアクセスを要求することを認めるものであり、国外に置かれているサーバーも対象となる。

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