本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
今日のポイント
- 安定成長株として、JR4社に改めて注目
- 人口の増えない日本で、新幹線がけん引役となってJR4社は最高益を更新
- 訪日外国人観光客が天候不順や日韓関係悪化の影響で減少
- 今、JR東日本に注目する理由
- 株主優待が魅力的なJR4社
- JR以外の私鉄各社も、インバウンド需要拡大が追い風
これら6点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
安定成長株として、JR4社に改めて注目
世界景気の先行きに、やや不透明要因が出ている。筆者は、2020年には米中貿易戦争がやや緩和し、5G(第5世代移動体通信)や半導体の投資が世界的に盛り上がると考えている。2020年、世界景気は回復に向かうと予想しているので、日本株は「買い場」と考えている。
ただし、世界景気の先行きについて決め打ちは危険である。今から想定外のネガティブ・サプライズ(驚き)が起こり、2020年も世界景気悪化が続くリスクもある。
日本株に投資する場合、世界景気の影響が大きい「景気敏感株」だけではなく、世界景気の影響を受けにくく、安定的に収益を獲得していくことが期待されるディフェンシブ株(※注)にも分散投資すべきである。筆者は、ディフェンシブ銘柄として、JR4社の投資価値が高いと判断している。
まず、JR4社の業績(連結経常利益)推移を見ていただきたい。
JR4社の連結経常利益:2018年3月期(実績)・2019年3月期(実績)・2020年3月期(会社予想)

出所:各社決算資料より作成
2018年3月期は、4社そろって経常最高益を更新した。JR東日本は2期連続、JR東海は6期連続、JR西日本は2期ぶりの最高益だった。JR九州は、上場後、初の最高益だった。
前期(2019年3月期)は、JR九州を除く3社が最高益を更新。地震や西日本豪雨の影響で、2社(JR西日本・JR九州)が減益となる見通しだったが、JR西日本は下期に持ち直し、最高益となった。
今期(2020年3月期)は、現時点で、JR東日本は4期連続、JR西日本は3期連続で経常最高益を更新する見通しである。JR東日本は10月の大型台風で被害を受けたが、小幅増益の見通しだ。一方、JR東海は、前期の増益率が高かったので、今期は減益になる見通しである。JR九州も、台風被害や韓国からの訪日観光客減少の影響を受け、減益の見通しだ。
ただし、JR4社は、中長期的に最高益を更新していく力があると考えている。新幹線および多角化事業(不動産・レジャーなど)が成長ドライバーになると思う。
異常気象は、これからも毎年、業績にマイナス影響を及ぼす可能性がある。また、人口が減少する過疎地域の路線が業績の重荷になる。それでも、訪日外国人および日本人の観光客増加によって、新幹線の利用拡大が続き、最高益更新に貢献すると予想している。